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みくろんさん (91h7vmwr)2024/8/8 16:07 (No.112740)削除
【パースト・プレズント・パーフェクトについて】
パースト・プレズント・パーフェクトとは、存在体*の状態を示す語学的仮称のこと。

順に説明する。


まず、パーストとはその存在体の″ 過去の状態 ″を示している。

数秒前、数分前、数時間前、数日前、数週間前、数ヵ月前、数年前の″ ソレ ″のことを″ パースト ″という。

これは悪魔で″ 状態 ″である。

″ 過去のソレ ″であって、″ 過去 ″という時間概念自体ではない。

故に″ 数秒前 ″というのは″ パースト ″ではない。

″ 数秒前のソレ ″こそがパーストと表現される。


次に、プレズントとはその存在体の″ 現在の状態 ″を示している。

数秒、ほんの数秒。0.000001秒でも食い違っているとしたら、ソレを″ プレズント ″と称することはできない。

これは悪魔で″ 状態 ″である。

″ 現在のソレ ″であって″ 現在 ″という時間概念自体ではない。


最後に、パーフェクトとはその存在体の″ 完全な状態 ″を示している。

超次元的能力及び劣化魔法等で弱体化を受けた能力は″ 弱体化後 ″ではなく、″ 弱体化前 ″がパーフェクトと表現される。

破損した物体は″ 破損前 ″がパーフェクトと表現される。

傷付いたネイチャー**は″ ダメージを受けていない状態 ″がパーフェクトと表現される。

但し、超次元的能力等によって不完全な状態が″ ソレが正常 ″だという因果的干渉を受けていた、または受けた場合はソレをパーフェクトと称することは不可能である。

どの状態を″ 完全 ″とするかだが、その生命体が一番最後にデヴェロップメント***した段階をカウントする。なので、『対象のネイチャーをパーフェクトに巻き戻す能力』等で赤子に逆流し″ 虚無 ″まで至る事はない。


(注釈)
(*=ソロル『存在体について』参照)
(**=ソロル『ネイチャーについて』参照)
(***=ソロル『デヴェロップメント(発展的成長)について』参照)

著者:エシカル・ウルストンクラフト
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みくろんさん (91h7vmwr)2024/8/8 15:34 (No.112738)削除
【存在体について】
存在体とは、この世界の森羅万象。

あらゆる存在、遍在する物体及び物質。

世界の均衡を固定する概念及び法則。

それらを全て語学的に内包する語学的仮称のこと。

断じて″ 存在体 ″という名前を持つ物理的な物体及び物質、其れを支える概念及び法則、秩序が存在する訳ではない。

この″ 世界に存在している ″限り全ての物体及び物質、其れを支える概念及び法則、秩序や混沌、出来事や現象・事象等は全て″ 存在体 ″と称することが可能になる。

無論、この世界に存在しないモノは″ 存在体 ″という語学的仮称には含まれない。

例として、″ この世界を一撃で1億回滅ぼす世界に存在しない色を持つ剣 ″があるとする。

それは勿論存在体とは言えない。

だが、″ この世界を一撃で1億回滅ぼす世界に存在しない色を持つ剣を空想した ″という事実は存在体である。

著者:エシカル・ウルストンクラフト
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さん (8zf1pchi)2024/7/29 19:14 (No.111411)削除
《颯懍》

そんなこと聞いてどうするネ。
オレは特定の人とずーーーっと関係持ち続けるなんて無理ヨ。
だってそういう種族だもん、親もそうだったネ。

…………だからっていつまでもこの仕事を続けるつもりはないアル。
でも、怖いものは怖いネ。

…うん、禄な恋愛見てきてないアル。
誰か1人をずっと信じて愛していられるなんて、オレは多分無理ネ。

…相手にも、それを求めないヨ。
期待するだけ苦しくなる、ネ。
なら、諦めた方がいいヨ。無駄に傷付きたくないアル。





《ロディ》

…はい?…いえ、質問の意図がよく分からず…。
好きな人…ですか、そうですね…。

今現在いませんし、近い将来作ることも考えておりません。

なぜ…?…執事だからです、主人に仕えその生涯を終えると決めています。
私が幸せにならずとも誰も困らせませんし。
そもそもそれで、幸せになれるなど思ってもいませんし…。

ただの執事ですからね、跡継ぎなんて考える必要もありません。

…もちろん坊ちゃんは別ですよ、ここの跡取りですから。
坊ちゃんには幸せになってもらいたいですね。

以上です、他に何かありますか?





《阿玖里》

好きな人?好きな人…うーん…。
オレから離れないで居てくれればそれでいいけどなぁ。

うん?もちろん死んでも離さないけど?当たり前だよ、もう二度と離さないよ。

大切だからね。
大切にしているからこそ離れて欲しくないよ、何かが起こってからじゃ遅いからね。

なるべく傍にいて傷付いたらすぐに治せるようにしたいよ。

手離して、何かがあったらきっとオレは今度こそ……。

んーん、気にしないでよ。

愛が重いって言われるけど、大切じゃなかったらここまで束縛しないよ?むしろ放置するね。

だって興味が無いから。

でも大好きだから、骨になっても離さないよ。
そこだけは覚悟して欲しいなぁ。





《聖樹》※筆談とします

好きな人、えっと…。
それは全てをわかったうえで…?…ですよね…。

えーっと…つまりどういうことを言えば…?…覚悟して欲しいこととか…?好きなところとか…???

えーっと………好きなところ、はありすぎて分からない、です。
強いて…?強いて言う…なら…えっと…手、とか…?撫でられたりする時の優しくて温かい手が好き、です。

他に…??顔…とか…?…悪い意味とかではなくて!!笑った顔も泣いた顔も好きなんです、でも多分彼だから、好きなんだと思います。

え、っと…あと覚悟…?……あー、あの、他の猫の匂い、つけて帰ってきたら許せませんね。

風呂に入っても洗い流しても取れない時は取れないので、本当にダメなんですよね。

だって浮気だから。

獣人だからって思ってるかもしれないけど人間の身は持ちつつもこっちだってその動物の特徴は受け継いでたりするんですよね、だから耳も良ければ嗅覚もいいんです。

そうなるとどうなるか、なんて考えずとも分かりますよね。
あと猫って実はかなり嫉妬深いんですよ、男でも女でも。
つまりはそういうことです。

あ、えっと…すみません1人で長々と…あ、あとはいいですか…?





《シンク》

は?んなもんオレには必要ねぇよ。
はぁ???めんどくさ…。

いらねぇよ、そんなくだらねぇもの。
いたところでなんの役に立つよ。
立たねぇだろ?くだらねぇ。

愛だの恋だの騒ぐやつはこの世に五万といるが、オレはキョーミないね。
いるだけ邪魔だろ。

そんなのが弱点になるぐらいなら、足手まといになるぐらいなら、いない方がマシだろ。

こんな世界、いつどこで誰がどんな風に死ぬかなんて分からねぇのに、ただ少し勘違いして愛だの恋だの感じた相手が死んで、立ち直れないぐらい傷付いたってそいつはもう二度と帰ってこないんだ。

なら、いない方がマシだろ?…怖がってる?んなわけねぇよ。

いらないものを理由を交えつつちゃんと要らないって言っているだけ、じゃないと納得しねぇ奴もいるしな。
理由もなく頑固にいらないって言い続ける奴もいるがめんどくせぇだけだよ。
ならちゃんとした理由を言いながら断った方が納得しやすく分かりやすい。

違うか?





《アステール》

えっと好きな人…???んーーーー…。

ボクにはまだ早いような…。
まだその覚悟がないって言うか…。

ボク自身がさ、ほら、すぐドジしちゃうから。
きっと困らせちゃうよ、もし本当に好きな人が出来たとして困らせちゃうのは嫌だなぁ。

困ってる顔が見たい訳じゃないからさ、好きな人には笑っていて欲しいよ。





《玖々莉》

好きな人…?か…。
うーん、オレにはちょっと分からないなぁ。

あー、いや。
今好きな人がいるわけでもないしさ、昔もいた事ないし、よく分からないんだ。

えー…?いやぁ…姉さんや姉様のを見てても別に…何とも思わないなぁ。
面白みがなくてすまない、本当に分からないんだ。

今までそんな風に思ったことがある人もいなくてさ…。

なんかごめんな。​
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緑茶さん (8z88g5i0)2024/7/22 20:49 (No.110383)削除
【Loveletter】

好き


大好き


愛してる


この世界の何よりも、誰よりも


あなたは女王だから、自分と結ばれるなんて叶わないだろうけれど


それでもあなたが誰かのものになるのは嫌だ


自分だけのものになって欲しい


自分の恋人になって欲しい


そんな淡い片想いは今にも泡となって消えてしまいそうになっているけれど














「ねぇ〜〜〜、ロス〜〜〜???髪の手入れくらい自分でするから大丈夫だってば〜〜〜」


「そう言ってフェリスはしないでしょ。しても権能でするんだから。」


「別にいいじゃん権能でも…。」


「こう言うのはちゃんとするからこそいいの。ほら、じっとして。動いたら関節技するから。」


「なんでそんなこと言うのっ!?」


そんなことを言い合いながら、ロスはまるでガラス細工を扱うみたくフェリスの髪に触れる。


あの人と同じ長さ。


あの人と同じ色の髪と瞳。


分かってる。


ティターニア様と重ねてみてしまっていることくらい。


でも…


でもさ


仕方ないこと、そうロスは思っている。


(仕方ないじゃん。愛しているんだから。)


(こんなにも似てるんだから。重ねてみてしまう俺の気持ちもわかって欲しいよ。)


だけど、もし


もしもこの気持ちがバレてしまったら?


その時、自分はどうなるのだろうか。


その時頭を過ぎった、嫌な考え。


(もしも嫌われたら…)


(嫌われたら、俺は………)


どうするんだろうか。


そんな考えることしかできない未来絵図を考えるのはよそう。


そう思っていた時、ふとフェリスの笑い声が聞こえてきた。


「何?どうしたの?」


「いや、小さい頃のロス思い出してさ。」


小さい頃


その単語に、心臓の鼓動が早くなっていくのを感じる。


だがそんなロスを気にしないで、フェリスはくすくすと笑いながら話を続ける。


「風呂上がりのお姉ちゃんの髪乾かすのさ、よくやらせて〜!ってねだってたよね。」


「あの時からお姉ちゃんのこと好きだったんだ?」


何を言っているんだろう。


そんなの、当たり前じゃないか。


ロスの完全な一目惚れの初恋。


それは一瞬にしてティターニアに奪われてしまったのだから。


口角を自然な形で上げては、春の日差しのような声音で返事を口にした。


「うん。あの時から…。って言うか、初めて会った時から好きだよ。」


「ヒトメボレ…ってやつ〜!?」


「あ〜っ、ちょっと!動かないでってば!」


そんなことでまた騒いで。


ふと気になったのか、ロスは真っ直ぐにフェリスを見つめては尋ねてみた。


「フェリスは居ないの?好きな人…まではいかなくてもさ、いい人とか気になる人とか。」


何言ってるの?と言いたげなアクアマリンの冷たい視線が痛く刺さる。


まぁそうだよね。と言おうとしたけれど、少しだけ赤く染ったその耳をロスは見逃さなかった。


アレ、意外と居たり?といじってやろうかと思ったのもつかの間。


「居るわけないでしょ!私はお姉ちゃん一筋なんだから!」


どこか焦っているような感じ。


図星かぁ?と思いながらもそれ以上は言わなくて。


そして今度はフェリスから質問が投げかけられた。


「じゃあ聞くけど…。恋してる時?ってどんな感じなの?」


「えっ。どんな感じって聞かれてもなぁ…?」


これまた難しい問いをしてくるものだ。


頭を抱える、とまではいかないが少し首を傾げつつも懸命にその回答を探す。


分からないと言うことは簡単だ。


はっきり言って、ロスにだってそんなの曖昧にしか分からない。


「分からないならいいけど〜。後学のために教えてよ。」


本当にワガママなんだから。


小さな溜息を吐いては、不器用ながらも言葉を紡いだ。


「そうだなぁ…。体が熱くなって、胸は痛くて。」


「……病気?」


「違うってば。…それで…。何してもその人のことしか考えれなくて。いざその人と話すと胸が死にそうなくらいにドキドキして…。」


「って感じかな。」


「…。」


「え、恋って大丈夫?」


「そんな体に毒じゃないから…。」


苦笑しながらも、櫛で髪を梳かすのをやめては笑いながら言ってみた。


「好きな人か恋人できたら教えてよな。祝うからさ。」


「そんな予定ないから!もう寝る時間でしょ!」


「はいはい。フェリスは…寝ないだろうけど、寝ないなら食べることくらいしなよ。」


「余計なお世話!」


「はいはい。」


そう言いながら、真紅の瞳でフェリスを見つめながら部屋を後にした。















自室のベッドの上で寝転がり、先程の会話を思い出す。


恋人


好きな人


「フェリスに恋人かぁ…」


(嫌だよ。)


(絶対に嫌。)


(カラリエーヴァに恋人ができるのも嫌だよ。)


ドス黒く、そして紅く血腥い感情が咲き始める。


(3人で約束したじゃん…。何があっても、ずっと一緒って。あれは嘘なんかじゃないだろ…?俺だけを不幸の中に独りにしないで。一緒に苦しんでよ。ねぇ、お願いだから…。)
(フェリスも…。ティターニア様も、苦しんでよ。俺を愛してくれてるなら…苦しんで。俺と一緒の気持ちになってよ。一緒になってよ。)
(それで俺を好きになって。苦しんでる姿も愛すから、俺。だって苦しんだら『同じ』じゃん。俺と同じになろうよ。)
(もし…。恋人ができたら…。)


「許さないよ。」


紅い瞳と口角は狂気に歪んでいた
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緑茶さん (8z88g5i0)2024/7/18 21:12 (No.110107)削除
【UNKNOWN】


月を抱く


星を抱く


太陽を抱く


空を抱く


花を抱く


大地を抱く


海を抱く


生命を抱く


世界を抱く


そうして残ったものは?


『何も無かっただろう?残るのは無。全部最初からからっぽだったのだから。』



『そのからっぽに意味を見出そうとしたのは貴様だろう。』


『で。そのからっぽは満足たされたかい?』


『黙れ。ボクの本懐も知らん傀儡人形が知ったかぶりをするな。』


『あれ。そんな口調だったっけ。』


『……。』


何も残らない。


灰燼も残痕も、何も残らない。


ただ…思いの外、良かった収穫はあったようで。


『アレだけだ。良いものが見れたのは。』


『片方は死んだのに?』


『だからだ。』


『だから良作だった。』


『キミも酷いことをするね。もう少し愛情ってもんを恵んであげても良いだろうに。』


『何を言う。愛情なんてヒトを腐らせるだけだ。そんなものは恵んでやる気にもならんさ。』


『じゃあなんであの子を生かしたの?』


『あの子はあの時死んでたって良かったよね。だってあれはイレギュラーだ。不確定要素は排除するべきだよ。』


『教えて?どうしてキミはあの子を…。』


『あの子たちを生かしたの?』














『花は好きか?』


『おはなはすき。』


『1番好きなのは?』


『ばら。』


『ほう。私と同じだ。』


どうして


腐らせたのか。


腐敗は気持ち悪いと言うのに


そうと分かって自らの手で腐らせ醜く変貌させたのは己だと言うのに














まだ執着するのか














『これを護る意味は?』


『これを護ると言うことは世界を護ることに繋がります。』


『これを護れなければ世界も護れませんから。』


『護る意味は?』


『お話…聞いてましたか?』


『いいや、これを護る意味の方じゃなくて。』


『世界を護る意味。』


『世界がなければ我々は生きれません。生を望むのでしたら護るしかないのです。』


『まるで嫌々護ってるみたいな言い方だね。』


『さて。それはどうでしょうか。』


『…。』


『……。』


『罅割れた薔薇は使命を全うすることしか赦されない。』


『なのになんでアイツは特別扱いをされて、赦されてるの?使命から逃げてるって言うのに。』


『だから特別なのでしょう?』


『だから?』


『だとしたらアイツは自業自得でああなったってワケだ。嗤えるね。』


『家族なのでしょう?良いのですか?そんなことを言っても。』


『アイツのことを家族だと思ったことはないよ。』


『そうですか…。』


『罪は浄化しないといけない。ケガレも浄化しないといけない。』


『それはお母様からの受け売りですか?』


『いいや。』


『もう居ない大切な人からの受け売り。』


『……。』


『思うことはひとつだけだよ。』


『世界なんてクソくらえだ。』






















『_________』



『_____神____見___』


『________レ____』


『________』


『』

















何を見た?


『罪と罰。それの全て。』


何を聞いた?


『全ての生命の鼓動。』


何を感じた?


『何も感じなかった。』


何を望む?


『_______。』

















『望むべきなのは【キミ】《player》だろう?』


何故?


『私が望んだところで私は何もしないから。』


どうすれば良い?


『【メッセンジャー】の言葉を脳に刻む。』


『そしてそれに聞く。』


『それは有益な情報を教えてくれるだろうから。』


『聞かないでどうなっても私は知らないよ。』


『…。失礼。冷たい言い草になってしまったね。』


『【キミ】《player》はハッピーエンドはお好きかな?』


『好きなら…叶えたいなら、時間と対話は有意義に使った方が良いよ。』


『くれぐれも、バッドエンドにならないことを祈るよ。』


『神に。そして__に。』
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みくろんさん (91h7vmwr)2024/7/13 05:17 (No.109504)削除
『せんせ』

ひさしぶり、せんせ

せんせはおげんき?

わたしはげんき

あたらしいおうち、たいへんなこともあるけど

がんばる




せんせにもらった『のーりょく』、すごい

きらいきらいなこ、みんなきえちゃうんだ

だからまいにちつらくない

こわくなったらけしちゃえばいいんだもん

せんせがいったことはほんとだった

みんなうそついてる

みんなきずつけてる

だからけしちゃってもいいよね

ねぇ、せんせ







        (fin)
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蒼弥さん (900sekxf)2024/7/12 11:47 (No.109450)削除
相対する技術



最近噂されとる、俺と同じようなパワードスーツを作った奴がタルタロスにおるという話を聞き、俺は事前に作ったデータ収集器を装備し、そこら辺を飛び回っとった。あくまでもデータ収集が目的。やから無意味な戦闘は避けるつもりや。そいつらと相対するまではな。

そうして見つけることが出来たんや。…いや、後から思えば見つかるように仕組まれてた、の方が正しかったんかもしれへんけどな。…或いは、あちらから出向いたか…やな。

「やぁ、竜胆 千隼君。君のことは概ね聞いているよ。」

虚空から急に現れたソイツは、異様な空気を醸し出しとった。そして、こいつのこの武装…間違いあらへん。こいつが、タルタロスにおる、技術者っつー奴や。

「そーいうアンタもやけどな。名前はあんま知らへんけど、最近あちこちで暴れ回っとるみたいやんけ。」

「ほう、流石の政府もそれぐらいは話が回っているか。」

スゲェムカつくにやけ顔。…つうか、何でこいつは頭装備外してるんや??違和感しか感じられへんのやけど。…まぁええわ。

「お前らはやり過ぎや。悪いけどここら辺でいっぺん………!!」

「死ぬのは君の方だよ。竜胆 千隼。」

俺が言い切る前にコイツがそう言うと、背面のデケェバックパックに付いとるよう分からん端末が合計11本も射出された。俺はそれを見逃さへんかった。そいつらの、長方形型の先端や、円錐型の至る所からビーム砲が無数に、空中で放たれることも。

「なんじゃァ!?」

すぐ様輻射障壁を展開して防ぐ。やけど、絶え間なく放たれるビームの連撃に、前方のみの防御しか通用せーへん輻射障壁やルミナスコーンやと対応できへん!フロートユニットを活用して、身体を回転させたりすることでなんとか避けていくが…それでも、何発かは掠ってまう。やけど、威力的にハンドガンと同じような威力!なんとか、耐えれる!

「避けてばっかじゃ気が済まへんわ!くらえぇ!」

背面に懸架しとる突撃銃を手に取って、奴に向けて連射しまくる!しかし、奴の首から下の装甲に当てても、ビクとも傷もつかへん!

やけど、その謎も全て分かった。左目に装備しとる、分析機能が付いた機械でな!

「ファイスディアフォトゥン装甲かいな………お前、俺の技術パクリやがったなァ!!!」

何よりムカつくんは、それを改良しとる事や!!くっそ、まさか奪われとるとは思いもせんかった!!

「はっはっはっはっ!!面白いことを言うねぇ。私は出回っている情報や技術を良い方向へと活用しているのだよ。パクったなどと悪い物言いはやめて頂きたいところだね!」

そう言うと、奴の右腕に持っとる大型ライフルから放たれる大きめなビームに、このよう分からん武装に気を取られとる俺に当たりそうになった。

「ッ!?あっぶねぇ!!!」

右肩にある背負い式の連装ビーム砲がやられてもうたが、何とか生きれてる。こっから反撃するッ!フロートユニットを全て起動させて、残像を生ませるほど質量を最小化!このまま突っ込む!

「ほう………そう来るか。」

しかし如何せん変えることのないニヤケ顔に、異様がまた腹立つが、遠距離でしか攻撃出来ひん奴に、俺の攻撃が防げる訳がないんや!!!

「面白い特攻だが、私がいつこうやって遠距離からしか攻撃が出来ないと思っている?」

俺と奴との距離が5m切った辺りで、奴がそう言えば、両脚の脛から黒く細かいビームが無数に発射されてもうた!!!

「負けへんぞぉ!!!」

ルミナスコーンを展開することでそれらを全て防ぐ!!…わけも行かず、発生が遅れて何本か俺の肉を削ぎ、身体を貫かれた。痛いけど、我慢どころや!!お兄ちゃんやからな!!!

「死ねぇ!!!」

「ほう………」

斬りかかる寸前に、刀身を3枚に分け、鞭のように斬り裂く!!効果は………

「…中々やるようだ。流石、己の武装を作っているだけあるな。」

頬に一本のかすり傷のみ。残りはまた装甲に加えたやけやが、硬すぎた。どないなっとるんじゃ、これはァ…!

「………だが、ここまでだな。」

そう言うと、背後にはさっきの攻撃端末が倍になって浮遊しとった。………こんなに数無かったやろ、どういう事や…!?それら全てからビーム砲が放たれる。…いや、これビーム砲やなくて、魔力を帯びた実弾!これで物理攻撃にも魔法攻撃にも為るっつーんかよ!とにかく、避けるしかないッ!!

「ぬおおおっ!!!」

最大出力のフロートユニットで、なんとか回避する!!しかし何発かは当たってまう!突撃銃がそれで破壊されたからな!…やけど、これだけの数があって、そこそこ当たっとるけど実際ダメージになっとんのは3回分!つまり、11基以上のこれらは、全部繊細に作られた偶像ってことや!そこからどう来るか、パターン化させて………

「そこじゃぁぁぁ!!!」

残っとる左肩の連装ビーム砲から放たれる緑色のビームをぶっぱなして、長方形の攻撃端末を1本破壊してやった!ついでに、ロケランの形状した発射器から、二本のロケット推進弾を、どこに飛ぶかを予測して他の長方形一基と円錐型一基に命中させて破壊したった!

「中々やるじゃないか。初期段階で作った武装で、私のドラグーンを3本壊すとは。」

ドラグーン…それがこの兵装の名前。ただ空中で浮遊させて撃っているには、あまりにも正確過ぎる。…なるほど、"ドラグーン・システム"っちゅーわけね。

「俺は天才やからな!」

「……ならば、私だけで相手するのは厳しいか。お前達。」

ソイツがそう言うと、俺の背後に、3機のパワードスーツを着た奴が現れた。それぞれ見た目も武装も違う奴ら。……チッ、最初からリンチにするつもりやったんかいな!!

「ヒャッハァァァ!!テメェの大事なモンを頂きィ!!」

黒と緑混じったパワードスーツの奴の左手首に装備されとるモーニングスター型の金属球を勢い良く直線に飛ばして来よった!だが、これぐらいは簡単に避けれる!

「次の一手も避けれるか?」

「避けれませんわよねぇ♪」

赤と白混じったパワードスーツの右手に持っとるライフルから、緑色のビームが何発も連射され、青と金混じったパワードスーツの腰部後方に装備しとる2本の、ビーム刃を出したビームブーメランを器用に飛ばして来よった!

「ッ…!!」

この連撃には対応出来ひん。ビームブーメランは一本回避出来たが一本は左肩の連射ビーム砲を斬られてもうたッ…!ビームライフルの連射は輻射障壁で何とか防げた。残っとるロケット推進弾2本を奴らに向けてぶっ飛ばす!

「…ふ。4対1は流石にしんどそうだな。竜胆 千隼。」

しかし、奴の長方形型のドラグーンによってロケット推進弾2本とも破壊されてもうた。あの3機のパワードスーツらに当たることも無く…。

「君のその技術は、とても素晴らしく…私達にとっても凄く有意義な物になったよ。だが、君にはここで退場してもらおう。後は私だけでも様々な物を作ることが出来るからね。」

利用されとった…最初からこの技術を狙って、挙句の果てには用済みなったからここで消すって言うわけかいな。無茶苦茶な話やけどなぁ…

「俺はこんなとこでは死ねへんわ!!!…ほんま、どいつもこいつも動力を核エンジンにしよって!それ利用して核放つつもりなら、俺は許さへんぞ!!!」

「ほう、我々の装備の動力が核であることをも見抜いたか。素晴らしいな。ここで殺すには惜しいが…仕方の無いことだ。一気にカタをつけるとしよう。」

そう言うと、奴の大型ライフルの銃口が広がるように展開された。他にも、赤白のパワードスーツ背面に装備しとるポッド2基が分離・浮遊し、蓋が展開されてるし、青金のパワードスーツの背面にマウントしとる三つ折りのビーム砲を展開した。どれらも俺に向けられとる。…まずいッ!!

「死ね、竜胆 千隼!!私達がこれから為す使命の為に!」

奴の展開された大型ライフルから巨大な赤黒い閃光ハドロン砲、ポッドから黄金色の巨大物理レーザー光線、三つ折りから展開したビーム砲からは、普通のビームなんかよりも高出力で放たれた、青色の余波に包まれた赤いビーム。

俺は、輻射障壁とルミナスコーンを同時展開させることで防御したはいいものやが…どれも高威力武器過ぎて防ぎ切れへん!!こうなったら……

「後ろの少年だァァァれェ!!!?」

しまったわ、こいつの存在忘れとった!!黒緑のパワードスーツ!!右手にルミナスコーンを利用したエネルギーランスで、俺の背中を激しく斬り裂きやがった!!俺は激しく吐血するが…これではまだ死ねへんぞ…!

それに、データも多く取れた。これだけありゃ、なんとかなる。お前らの武装、全部見せてもろたで。

「パクられたらパクリ返す。…覚えてろよな、クソッタレ共!!」

そう叫んでやれば、指を強く鳴らした!瞬間、俺はその場から消えて、一斉射撃の矛先は黒緑の奴に向かっていった。

「うおっ、あっぶねぇぜぇ!」

しかしそれを瞬時に回避しやがった。一人ぐらい持ってこう思たんやけどな…。

「………逃げられてしまったか。政府の人間は、逃げ足だけは速いものだな。」

「正につまりません。奴等の要を攻められれば逃げも出来ないでしょうが。」

「なんだか消化不良でございますわ。そこら辺の街を滅ぼしてきてもいいでしょうか?」

「…構わない。好きに壊してくるといいさ。」

「っしゃァ!!!そんじゃ行くぜぇ!!!」

「あはははっ!さぁ、地獄を作り出しましょう〜!」

「…ゼノス様。ゲヘナにいる運命の司教アルヴァンデロ殿について、無人機であるフェーザーを貴方は作り出した訳ですが…。」

「無人機は作るさ。もしデータを取られたとあらば、きっと強力な物を作り出すだろうからね。ならば、質より数を作ってしまえばいい。人は有限だが無人なら無限に作り出せるからね。」

「流石でございます。」

その日、ただそこにあったと言うだけで一つの街がまた滅ぼされた。一瞬にして。

「………はぁ。何とか逃げれたわ。あー、背中痛え…っ…て、これよォ…。」

50mギリギリまでの瞬間移動によって、何とか逃げれた。攻撃をされてる自覚は無かったんやがな。どーやらテレポートした際に右脚の太腿と左肩を撃ち抜かれたみたいや。多分、奴のドラグーンやろうな。まぁ、帰る分に支障は来たさへんからなんとかなるんやけど。

………やけど、こいつらの機体データは大体収集出来た。問題は、この核動力やな。俺でもやろうとは思わなかったんに…まさか、アイツら本気で世界ぐっちゃぐちゃにしようとしてんのか…?だとしたら尚更や。最近は靖也のおかげで次世代試作機の月下のデータを元にいい武装も作れそうやしな。やけど………今は帰って、休まなあかんなぁ…。背中めっちゃ痛えわ………。

…カルマ・サクスファリス、あいつの分も作ったらなあかんな………ていうか、なんか…なんつーな、気配的に…似てる感じしたな。なんでやろ。
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緑茶さん (8z88g5i0)2024/7/10 23:07 (No.109374)削除
【εισιτήριο μονής διαδρομής για την κόλαση】

『神様』


その存在が明るみになるまでの年月は長いようで短い。


ではその間____


正に偶像崇拝をされた者はどのように扱われるか。


想像に容易いことであろう。


それが偶像であると知られれば…


崇拝は憤怒へと変わる


それだけである















あの元婚約者から攫われてどれ程の時間が経過されただろう。

分からない。


ただ分かることは…痛み。それだけ。


彼は今ここには居ない。


何処に居るのかと問われても答えれないが、それは確かだ。


だって気配を感じない。感じないのならば居ないだろう。


否…。もし彼が自身を捨てた後に気配を消すような力を手に入れていたらその話も変わってくるだろうけれど。


暗い。


ここが何処なのかも分からない。


火を灯そうにもその勇気が出てこない。


それでは何も出来ないだろう。


出来ないから、小さく縮こまって震えることしか今のヘスティアには出来なかった。


なんて哀れな姿だろうか?


炎神、太陽神、処女神と崇められていたサラマンダーが今ではこのザマだ。


かつて彼女を信仰していた信者がこの姿を見たらどう思うのだろうね。


嗚呼、思うのは憎しみだけか。


その信者を殺したのは他の誰でもないヘスティア


彼女本人なのだから


曙天大御神と言う名こそ知名度は下がったがまだそんな偶像を信仰している者たちだっている。


他との関わりを拒絶し孤立している地域では尚更だ。


どうしてこうなってしまったのか。


炎神を恨めば良いのか?


それとも信者?


今更そんなことを考えたって後の祭りだろうに。


そんな無限回廊のようなことを考えていた時


何処からか眩い光と音が射し込んで来た。


その音に怯えるのは、何時振りだろう。


誰かが来ることを恐怖として刻み込まれていたのはどれ程前のことだっただろうか。


その視界に映る女のような幼い顔をしている男に嫌気がさす。


光るエメラルドの眼は、私利私欲しか入っていなかった。


だってそうでしょう、貴方は。


昔から何にも変わっていない。


その世界に居るのは自分独りだけ。


寂しくないの?


哀しくないの?


そりゃあそうか。


貴方は人間としての感情は欠落しているものね。


『その目はなんだよ。恨むなら自分の婚約者も守れないあの忍者かその弟子を恨みなよ。』


睨んでいたのか、自分は。


そのことに気付く余裕さえ今のヘスティアには無かったようだ。


仕方ないだろう。


目の前には何よりも自分に恐怖とトラウマを植え付けた相手が居るのだから。


この状況で落ち着いて居れる方がどうかしているくらいだ。


ゆったりとした動作で近付いて来る彼から遠ざかるように後退りをする。


だがそれさえも叶わないらしい。


ユキは逃げようとしているヘスティアを見越したのか、一気に距離を詰めた。


そうして逃げられないようにするためだろう


彼自身の影で鋭利な刃物を作ればそれを思いっきりヘスティアの足へと刺した。


ちょうどアキレス腱のあるところら辺を


ご丁寧に狙って。


「ッぅ゛う゛…!?ァ゛゚あ“ァア゙ア゛ア゙ッッッッ!!!!!!!!」


紅黒い血液が流れる。


ヘスティアの呻き声、喚き声を気にも止めずに何度も何度も…


ユキはその足をズタズタにするべく刺し続けた。


だって邪魔なだけだろう。


逃げるための道具である足だなんて部位は。


冷ややかに鈍る視線は、ヘスティアを生命としては見ていなかった。


ただただ道具。


それとしか見ていないことが定かであった。


そもそもユキの思考回路の中に誰彼を『人』として見ると言う要素が組み立てられることなんてあるはずが無いのだ。


だって所詮は道具。


それ以上でも以下でも以外にもならない、なり得ない存在。


それをどう見ろと言うのだろう?


どれくらい刺した後だろうか。


少なくともヘスティアが治癒魔法を施す猶予を与えないペースでユキはアキレス腱を傷付けた。


『なんでお前はそうやってのうのうと生きていけるの?』


『信者を虐殺した殺人鬼の癖に。』


(それは…。お前もだろう…。)


(お前だって…私だって…罪のない人たちをたくさん殺してきた。)


(同じことには変わりはないだろう…?)


そんな言葉は流石に言えなかったけれど。


少なくともヘスティアはそう思っている。


…だが


いくら『同じ』だからと言ってその罪悪感が消える訳ではない。


ヘスティアはこの永い年月の中、その罪悪感を忘れた瞬間なんて無かった。


あの婚約者である忍の彼と出逢うまでは


彼と居る時。


その時だけは、過去の有耶無耶も憎しみも後悔も罪悪も


忘れてしまうことができてしまった。


それが良いことなのか、悪いことなのか…。


ヘスティアには到底分からない。


だけれど、その時を心地良いと


幸せであると感じた


幸せを感じてしまったのだ。


感じてはいけない、幸せを


だから離れようと考えた時もあった。


だけれど。


それを許さなかったのは他でもない彼女自身の心だ。


貪欲にも彼を求めてしまった。


その末路がこれだと言うのか。


だとしたら当然の報いか。


でも。


お前に


ユキに。


言いたいことはある。


ぶつけたい想いがある。


それは我が子を殺された憎しみ。


殺意。


「お前の方がッ…。お前の方が罪人…だろ…ッ…!?」


「子供をふたりも殺め…ッ……その隠蔽工作のために家を燃やし………私に罪を被せ逃亡したッ…!」


「お前の方が罪人だ…ッ…!」


「何故あの子たちを殺した…ッ…?!」


「あの子たちはッ…」


「能力を持ってたんだぞ…ッ!?」


お前が望んでいた、能力持ち。


それがふたりも居た。


だのに目の前のこの男は殺しやがった。


何故?


なんの為に?


不愉快そうなユキの視線と殺意がこもっているヘスティアの視線が重なり合う。


数秒後、呆れたような溜息がユキから溢れた。


『知ってるよ、そんなこと。』


『と言うか…。』


『使えない能力だったから、殺した。』


『ボクと同じ能力なんて要らないよ。』


『だから殺したの。分かる?能力持ちだからみんな生かすよ〜。なんて言う甘ったるいヤツじゃないの、ボク。』


痛みに悶えながらその話を聞けばさらにヘスティアの憤怒は燃え盛る。


知ってて殺した?


なんの罪の無い赤子をふたりも?


あの子たちには人生があったはずなのに。


未来が待っていたのに。


どうしてそんな残酷なことができるのだ。


ユキはまた何かをする気なようで


刃物を手のヒラで回しては、その腹に突き刺した。


「ッ゙ッゥ゚、ゔァ゛ア゛ア゛あ゚ア゛ッッッ」


奥へ奥へと刺し込まれる刃物は激痛をヘスティアに届けた。


それを無表情に見るユキの冷酷さ。


だって道具を痛めつけてるだけ。


それの何に罪悪感を感じろと人々は言っているのだろう?


ユキにはそちらの思考の方が難解だった。


刃物は刺したままの状態で、ユキが手にかけたのはヘスティアの体中に生えている鱗だった。


この鱗には価値がある。


だから利用する。


「ッ、ヴ、ガッ…。そんなに、それがほしいか…ッ…?ただの…うろ、こ…だろ…。」


『いいや?利用価値のある道具だよ。』


腹の痛み。剥がされる鱗の痛み。


その両方に耐えながらヘスティアは考える。


どうこの男から逃れるか。


最悪、殺してでも自身の身の安全を確保しなければならない。


この男の中にブレーキなんざない。


利用できる道具が目の前にあるのならば貪り尽くす。


それが久世ユキと言う男なのだから。


その思考を勘か何かで感じたのだろう。


鱗を剥がしていたユキの毛は突如として止まった。


その代わりか何か…。


腹に刺していた刃物を一気に抜いたかと思えば


腹を裂くように刃物でヘスティアの腹を切り付けた。


そして絶え間無くその中にある臓器を素手で掴み出せるようにと刃物で刺したりする。


「ガッァ、ハッゥ゛゚…ッッッッ!!!!!!」


「ァ゚゛…」


「ぐッ、ゥう゛…。はーッ゛…はーッ゛…。」


そうして腸と肝臓と内蔵は大概へと取り出せた。


殺意のような感情を漂わせるヘスティアに向けてユキは問う。


『そんなにボクが憎いかよ?』


『恨むなら自分を神だなんだと崇めた信者とそれを否定しなかった自分を恨みなよ。』


そんな的外れなことを言うのだ。


だってユキには分からないから。


人の憎しみも愛情も。


だからこうやって言う。


だがヘスティアから聞こえてきた言葉。


それこそユキが分からない感情


愛情であった。


「…か…。」


「…まかッ…。」


「まか…ッ…。たすけてッ…。」


助け


助けねぇ。


それが本当に来ると思っているのか?


たかが道具の癖に。


思い上がりも、自惚れも甚だしい。


「助けてもらえるも思う?」


「助けなんて来るわけないでしょ。」


「どうせあの忍者だってお前のこと道具としか見てないよ。」


そんなことない。


そう言いたかった


だけどそんな自信は無かった。


だってヘスティアが思っているのだ。


道具として見られていても良いと。


彼の傍に居れるのなら、それで良いと。


だからヘスティアは何も言えなかった。


まるでその愛情が不愉快と言うように、ユキはヘスティアの顔に手を添えた


そして目をくり抜いた。


あまりにも残酷に、


無惨に。


暗闇に視界が包まれていく。


暗闇の恐怖は近い。


ヘスティアにとって暗闇なんてトラウマでしかない。


それを分かっていてやるのだ。


最低最悪なヤツ。


やめて、そう言う暇も与えないで片目もくり抜いた。


完全な暗闇と陥ればヘスティアは何もできない。


恐怖の中では誰しもが弱者になってしまうのだ。


震え怯えるヘスティアを見下しては、軽蔑するように言い放った。


『お前はこのままそうやってボクの道具として生きれば良いの。』


『どうせ誰かも愛されないんだからさ。』


『道具は身の程を弁えて生きなよ。』


その声はもうヘスティアに届かない。


出血をし過ぎたせいだろう


薄れ行く景色の中に浮かんだ人は…


やはり婚約者の彼で。


「…ま……か…………。」


(おねがい、愛して…。)


そんなことは言えずに意識は途切れてしまったけれど。


ユキはくり抜いた目玉を持っていた団子を食べた後の串に刺しては、その場所を後にした。


ヘスティアはここが何処か…知らないだろう。


あの時ユキとヘスティアが初めて会った場所。


廃墟となった神社の地下の座敷牢。


燃え滓だけれど、どうやら遺跡らしく再現されているらしい。


そこに閉じ込めた。


まぁユキは彼女のことを神様なんて見ていないけど。


だってアレは道具。


久世ユキから見たヘスティアなんてそんなものなのだ。
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μ
みくろんさん (91h7vmwr)2024/7/10 18:03 (No.109339)削除
『…………………』





……何度目か分からない





…………何度絶望したのか分からない





分かっていること、其は、目の前にいる人物がこの世界に置ける『絶対強者』である、ただ、其だけ。





勝てない。いや、勝つなんて馬鹿らしい。






もう、戦闘意欲なんてとうの昔に砕けてしまった。






目の前にいる___の言葉を聞くだけで、自分が赤子のように、無力な存在だと錯覚してしまう。






『________?』




何かを問い掛けられた。もう、分からない。その言葉を『言葉』として認識できない。






『_____.........』




其の人物の顔を認識できない









『_____________』




自分の名前を忘れた







『____________、____』





友人と恋人の名前を忘れた








『____...』



所属している組織を忘れた



『______』




親を殺した仇敵を忘れた。親も忘れた






『......__』





自らの意志を忘れた











『________』





自分の存在理由を忘れた










『___________..........』




__を忘れた













『』





忘れたことを、忘れた










『__________________?』










                (Fin)
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蒼弥さん (900sekxf)2024/7/10 13:51 (No.109330)削除
消えかける篝火





悪魔討滅

それが俺達が掲げる人類の目標だった。

今日も昨日も一昨日も、そして明日も明後日も俺達は悪魔共を壊滅させるべくして戦っていたはずだった。



しかし、その日戦った相手は、悪魔のように強い、人類の一人だった。



「…久我、怪我は無さそうか。」

「問題ねェぜ。あんたの方も…心配はいらなさそうだなァ。」

「当たり前だ。」

いつも通り悪魔を討滅した後だった。今日は二人での任務として、久我 悠斗と共に赴いていた。数こそ多かったが強さは差程大した物ではなかった。だから、簡単に倒すことも、殲滅することも出来た。

「…帰るぞ。」

「おうよォ!!」

なんて言っていたんだが…振り返って政府陣営の拠点となる城へと歩いて戻る際に、悪寒がしたのだ。どことなく、心底から溢れ出すような、恐怖と絶望。

悪魔を討滅したはずだと言うのにも関わらず、どうしてこのような感情が現れてしまうのか。隣にいる久我は、気づいていないようだった。

こいつが馬鹿すぎるからなのか、それとも…俺の気の所為だからなのか。だが…身の震えが、何故か止まらない。

そんな時だった。音もなく、俺の背後から、空を斬るような音を上げようとしていたのが。久我は、それを見逃すことは無かった。俺が、この悪寒に気を取られていたから、それで油断していた俺だったが…久我はある程度警戒を怠っていなかったのだ。

「紅刃ァ!あぶねえッ!!!─────ぐッ!!!」

その大声でハッとした。その時に、久我は片手で俺のことを強く押した。しかし、それ故に久我は………黒い煙から出て、上から振り下ろされた歪な形をした刃によって、左手を斬り落とされてしまった。

「………よく気づくことが出来たな。馬鹿は何も感じないようで面白い。」

黒煙から現れたのは、漆黒に包まれた鎧の男。それは騎士のような物を感じさせるが、しかしどこか異様さをも感じさせる。それと同時に、先程から感じていた恐怖が、こいつから感じるようになった。先程の悪寒は、こいつが現れる予兆だった………という事なのか…?

何にせよ、臨戦態勢だ。久我は片手を切り落とされても尚狩猟刀を抜いて、構えているんだからな。

「何者だ。貴様は!」

焔に包まれた紅蓮の鎧を身に纏い、構える。そして、俺がそう叫んだ時、漆黒の騎士は鼻で笑った。

「生きる意義とは何なのかを求める者だ。」

そう言った時、俺は瞬きをした。…その瞬間、20m程距離を取ったはずなのに、0になる程にまで、距離を詰められていた。コンマ1秒、たったそれだけだというのに………!!

「ぐっ!!"獄炎拳"!!!」

拳に炎を纏い、無数のラッシュを奴に浴びさせる。威力も速度も高い、近距離対応の技!そして、俺の攻撃を縫うように奴の背後には、久我の狩猟刀が振り上げられた!そしてそれを振り下ろす!!

「…数の利を使う戦法。弱きながら流石だな。」

そう言うと、奴は背面から魔力を帯びた黒い膜のマントを発生させ、狩猟刀を防いだ。それと同時に、奴は俺の土手っ腹に向けて、長盾の先を俺にぶつけようとしていた。嫌な予感、そんな感覚を覚えて俺は身を捻りながら転がる。

途端、盾の先は銃口が付随しており、そこからレールガンのように物理強力弾が放たれた。当たっていれば、例えこの鎧でさえ、木っ端微塵になってしまうかもしれなかった程だった。

「かァ……このバケモンがァ!!!」

そう言うと、久我がカンフーのような構え方をした。あの構え方、もしかして…

「風林火山ッ!」

その構え方から為る能力は、一時的に肉体能力と運動能力が5倍に上昇し、常人では追いつけないような尋常ではない動きと速度を誇るようになるもの。

確かに、こいつにならば有効かもしれないが、片手が失ってる上に、血も流しまくってやがるッ…!

それでも、久我は真っ向面から漆黒の騎士に向かって、狩猟刀を振り回す。しかし奴は、腕のみを動かして、その斬撃全てを弾く。今の久我は、相当な速さであるはずなのに、だ。

「"爆炎球の連撃"ッ!」

無数の自動追尾型の火球を奴に撃ち出す!着弾すれば、大ダメージを与えれるはず。久我の斬撃に気を取られている、今のうちに…!

「鬱陶しいものだ。まとめて聞こうと思っていたが、一人ずつ聞いていくとしよう。」

「ぬぉッ!?」

そう言った途端、奴は久我の腹目掛けて思いっきり蹴っ飛ばした。なんとか腕を入れていたが、それでもとんでもない威力を持っていた。

これによって、一体一になってしまった。しかし、圧倒的な手数で─────

「教えてくれ。何故生きるのかを。」

そういった途端、一振で俺の両腕を斬り落とした。一瞬の出来事、痛みが後から来る程に、あまりに速すぎた。

だが、俺にはまだ足が残っている…!!俺は、空高くジャンプした。必殺奥義、今ここで…!!

「…命を懸けたところで、何も変わりはしないというのにな。やはり、面白いものだな。」

空高く飛んだ先に、奴は黒煙によってそこにいた。しかも、そのマントによる力で浮遊していたのだ。

「教えてくれ。何故生きる?」

「………悪魔を、討滅する為だッ!」

奴からの質問に俺はそう答え、否応なしに必殺奥義を繰り出すべく、足を突き出そうとした瞬間に…

「お前達が悪魔という存在を生み出していると言うのにか?…そんな物、生きる理由にはならんな。」

そう言って、奴は刀を納刀して抜刀術のような構えをした瞬間に、無数の黒い一閃が俺の身体を縫うように舞う。

それにより、片足が斬り落とされ、無数の裂傷を負った。その上、奴は足を限界まで上げ、かかと落としをする要領で振り下ろされ、物凄い速さで地面に叩きつけられた。

「が、ハ…………。」

手も足も出ない。意識が混濁している。そんな中、また黒煙から現れ俺を見下すように見ていた。

「…悪魔という存在を殲滅する目標を掲げているんだったな。政府は。…しかし、悪魔を産んでいるのはお前達人類だろう。それならば、何故人類を滅ぼすという考えにはならない?」

「…それでも、人に害する悪魔共を、殺さなければ………ならない。この世、かいを………守る為、に………。」

「………理解が出来んな。」

そう言った途端、剣を振り上げた。…嗚呼、俺はここで死ぬんだと。仕方ないよな。両腕と片足を失い、挙句には身体には無数の裂傷……おまけに、下半身が動く気がしない。身体の感覚が、ないように感じてしまっている。血も沢山流して…情けないな。ここで、野垂れ死になってしまうんだなと…まだ、生きていたかった。まだ、アイツと………

「紅刃は殺らせねェェェ!!!!」

猪のように漆黒の騎士に突貫する久我。しかし奴は首だけを動かして、そして久我に向けて盾先の銃口から物理強力弾を放つ。

「いッたくねェなァ!!!俺の中にいる久我はァ!こんな攻撃でも怯むこともねェェェ!!」

しかしそれを受けて尚突進し続ける。前方から来る攻撃は無効化する"猪突猛進"という久我の能力。久我はそのまま距離を一瞬で詰めて、奴にぶつかる。

「…そいつにはもう用はない。次は、貴様だ。」

そう言って、突進されぶつかった久我の頭を片手で押さえ、そのまま横腹に剣をぶっ刺した。前方からの攻撃には強くとも、両側面と背面からの攻撃には、滅法弱いのだ。

「ぐッ………負けねえよォ!!」

そう言って、裏拳を飛ばした。…はずだった。

そこに漆黒の騎士はいなかった。正確には、黒煙による移動で、久我の背後に立っていた。

「は……嘘だろ………。」

そのまま奴は、久我の脊髄を断ち切るように剣を振り上げてから一瞬で振り下ろした。

「がッ…………!?」

防ぐ手立ても、そんなことを出来る余裕も思考も、久我にはなかった。

「(や、べェ………片手失ってんのもあってか、血がッ……!!)」

久我も、今の一撃によって致命傷レベルの傷を受けてしまった。しかし久我の目は、それでも死んでいなかった。

「うォらァァ!!こんなとこで倒れんのはァ!俺の中の久我が許せねェェェ!!!」

そう言って、気合いで振り向き、奴の顔面目掛けて蹴りをかます。なるべく靴底を向けるように、蹴っ飛ばす形で。

「…貴様は何故生きる?力の為か?それとも、別の理由か?」

「俺の生きる意味なんざ、たった1つだけだぜ!!!己の道を信じて、人を助けてェからじゃ!!!」

「………近いようで遠いな。残念だ。」

久我はそう叫んだが、奴はどこか残念そうにしてそう言っていた。よく見れば、剣を持っている奴の腕が、黒煙に覆われていた。…すると、久我の背後に黒煙が現れ、そこから剣が出て背中を斜め下から斬りあげた。

タイミング的に、久我が靴底を奴に向けて、魔力による炸裂を放ったぐらいだった。しかし間に盾を入れ、防いでいた。その盾から発せられていた、ビームシールドのようなもので。そして、久我の背中が斬り裂かれてしまった。しかも斜め下から斬りあげた後に何度も、何度も。久我はそのまま、倒れてしまった。

「………貴様は確か、魔法騎士団の幹部だったか。腑抜けているな。そんなものでは、悪魔討滅だなんて遠いな。」

奴は、瀕死の俺に向かってそう言っていた。悔しいが、そうなのかもしれない。強くならなければ、その為に生きねばならない。生きねば。這いつくばってても。

「………そんなになってまで、生きようとするのか。醜い。まさしく醜く愚かだ。」

そう言って、剣を振り上げた。這い蹲る俺に、トドメを刺さんばかりに。

その時だった。

奴に向けて無数の苦無のようなものが飛ばされた。奴は剣を一振一振と振り回し、全て弾いていた。

「あそこに居たぞ!!」

「紅刃さん!!!」

「別地点で探している部隊にも連絡だ!!」

それは、空中を飛ぶパワードスーツ"飛鋭"を装備した複数の騎士団員だった。そのまま、地上に降り立つように急降下する。

「………あと少しだったんだがな。まぁいい。その傷じゃ、到底動けんだろうしな。」

そう言うと、奴は黒煙に包まれ、霧散するとその場には居なくなっていた。

「紅刃さん!久我!大丈夫ですか!!」

「今すぐ城に運び出せ!撤退だ!」

嗚呼、久我。すまなかった、俺が…弱いばかり。…意識が、混濁──する───

「紅刃さん!!意識をしっかり!!!」

「久我さんも息がある!早く、早く運びだ────…………

「行くぞ!せー────………





天璋院 紅刃と久我 悠斗は騎士団員に見つけられた後、すぐに政府の拠点である城へと運び出された。ある程度最大限の医療を受けていたが、無数の裂傷に欠損…そして何よりも、二人とも脊髄損傷による下半身不随に陥ってしまった。

傷に関しては治すことの出来る者がいる故、恐らく問題ないとされるが、何よりも問題なのが、二人とも意識が回復しないということだ。特に久我は酷いもので、内臓に多大なダメージを負っている故にこうやって一命を取り留めたのも奇跡なのだとか。

何にせよ、この2人は暫くの間戦線離脱となることとなる。

死んでいないだけ、マシだろう?特に、紅刃に関しては受けた傷は重いとするなら両腕と片足の欠損ぐらいで、内臓のダメージは普段負いまくって焼いてるのもあってか、運が良かったからか差程ないようだった。その為、回復自体はなんとかなって、意識も取り戻しているんだとか。

「………情けないな、本当に。命あるだけ、まだマシか。」

病室でどことなくため息を吐く。隣に、いつ起きるか怪しい久我と同じ病室で、そう呟いて。





「今回も派手にやったな。まさか魔法騎士団の幹部一人と団員一人を戦線離脱にさせてしまうとは。」

「政府というのはかなり腑抜けているぞ。己らから生み出している悪魔を殲滅するなぞ、結局自分達を滅ぼさなければ根本的な解決にならんというのに。貴様はどう思う?」

「私か?…さぁ。私は死ぬために生きているようなものだからな。私に生きる意味を問うのはあまり良くは無いかもしれないな。」

「………貴様も面白みがないな。利害の一致ということで協力してやっているが。」

「人間なんてそんな物さ。そんな都合のいい生き物でもない。所詮、己のことしか知らんのだからな。」

「………醜い世界だ。なんで存在しているんだろうな、この世界は。」
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柚子カレーさん (8zml5wu2)2024/7/1 20:07 (No.108688)削除
音叉の音と弦の音。波形の海に沈んでいた頭が、ドンドンと扉を叩く音に引き戻される。

「……だれだ?」

半ば音楽の海を揺蕩う脳で開けた扉の向こうには、人形を抱えた子供が一人。落ちてくる雪に散々に汚され、小さく震えている。寒いのだろう。それはそうだ。これだけ冷えてしまえば。

「どうしたハク……いや、とりあえず中に入れ。震えている」
「………壊れたんだ。壊された。ハクが壊された」
「中に入れと」
「治せないか?」
「………中に入れ。見てやるから」

迎え入れた子供は、それでもその人形を離そうとせず。己が作ったものがここまで大切にされる、というのも。なるほど悪くは無い。無いが。

「ほら。琥珀を渡せ。お前が抱えていては調べもできん」
「ハクは、治るか?」
「見なければわからん。ほら、渡せ。奥に風呂がある。その間に入っていろ。」

全く。己に子供を宥めさせるような真似事をするのはこいつくらいのものだ。
ただ設備としてあるだけの風呂の支度など、当然していないが、子供でもあるまい、己で支度もできるだろう。
その手から人形を奪い取り、子供を風呂場へ押し込める。開いてみれば、なるほどこれは。

「随分と念入りに壊されたなァ……」

開けば開くほど傷が出る。直せないというわけでは無いが、この有様では。

「治るのか」

見聞に気を取られていれば、いつの間に戻ってきたのか、子供が後ろにたっていて。

「直せんことは無い。が。ここだここ。核が酷く削れている。ガワを直したところでこの傷ではな。記憶はおろか、性格も失われているやもしれん」
「は?」

それは、悪魔と対峙している時でさえ聞いた事のないような声。普段のこれを知っているものなら、別人のものと思うような。地獄の釜から湧き出たような、憤怒。そんな声。

「作ったのはお前だろう」
「核以外はな。これは偶然の産物だ。再現出来るものでは無い」
「なら、ハクは」
「なるべく元の形に近づけることは出来るが。核が別物なら、それは同じ形の別人だ」
「………どうして」

「……なあハクよ。己が正義であろうと。相手が悪であろうと。恨みを買うとは、そういうことだ」

あぁ。まったく。せっかく風呂に入らせたのに、どうしてまたそうも無駄に己を濡らすのか。差し出せる手ぬぐいなど俺が持っているわけもなかろうに。

「治せ!治せよ!お前が作ったものだろう!?お前が俺に与えたものだろう!お前が!お前が治さないなら!!!」

激昂のまま己の胸ぐらを掴んだうでから。己を揺さぶるその腕から。少しずつ力が失われて。

「じゃあ、誰がハクを治してくれるんだよ………」

最後には、子供はその場にくずおれた。
常に飄々としていて、誰の前でも笑顔を崩さず。あの父とすら良好に関係を築くこの男なら。転がり込んできた偶然に形を与えただけの産物でも愛せるのだろうかと、ほんの出来心で与えただけのこの人形が。随分な弱みになったものだと思う。己の作品が、ここまで愛されるということを、いち創造者として、随分に喜ばしいことだと思う。

「まあ、ガワだけは取り繕ってやろうな。核も砕けた訳でなし。同じものと呼んでも問題はなかろう」

「…………は?……なに、言ってんだ、お前」

同じガワ。多少の損傷はあれど同じ核。であれば、同じ魔法人形だ。だからそう言っただけなのだが。

「うん?だから、直せる、と言ったのだ」
「記憶は?性格は?感情は?」
「まあ、多少の損傷や誤差はあるだろう。その程度だ」
「その、程度……?何、言ってるんだ」

………さて。己はなにか間違えたのだろうか。言ってることは間違えていないはずなのだが。

「………ハクを、返してくれ。帰る」
「……うん?直さんのか?」
「返せ」
「ハク?どうした?」
「返せと言っているんだ。俺は、お前を殴りたくて来たわけじゃない」

人間とは、わからんものだな

────────────────────

窓の外では、雪が積もっている。こんな日は外が随分静かで、本を読む手が進むというもの。とはいえ家にある物は既に一通り目を通している。ならば何をしたものか、と思考の海に潜ろうとする自分を、ドアをノックする音が引き止める。視線ひとつでドアを開けた息子の動揺する気配に、片目だけで扉の外を伺えば。そこに居たのは見知らぬ男。長い髪を雪で凍らせた、その男が

「………見てくれ父さん。死に損なったよ」

泣きそうな顔で。随分と楽しそうに笑って。

そこからのことは、よく覚えていない。息子の絶叫。歪む子供の顔。ちぎれる自らの腕。子供の顔も見れずに、ちぎれた己の腕を、ただ眺めていた。それだけの、こと。
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さん (8z9vrvz5)2024/6/15 22:11 (No.107564)削除
〖Nostalgic nightmare〗



暗く、余りにも冷た過ぎる部屋


ジャラ、身を動かす度に鳴る鎖の音


どうして


どうして


そんなことを思っても、彼には届かない


凌辱の限りを尽くされた体は


少し動くだけでも悲鳴をあげる


ただ


ただそれよりも今は、


彼に裏切られたという事実が心を締め付ける


『▇▇▇▇。』


彼が最後に言った言葉はなんだっけ


虚空を見つめた黄金の瞳から大量の涙が溢れ


冷たい部屋には悲痛な嗚咽が響いた



❀。.............................。❀



暗い森の中を駆け抜ける


裸足だから、小石が足に刺さって痛い


でも、走らなければ


あの人が逃がしてくれたのだから


それを無駄にしてはいけない


地獄の日々から脱却する唯一の方法なのだから



『▇▇▇▇▇▇。』



あの人が言った言葉は、上手く聞き取れなかった。


逃げたことを、どうか許して


罪悪感からか、静かに、一筋の涙が流れた



❀。.............................。❀



どうして


どうして、


どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして


ねぇ、どうして


何でいつもこうなってしまうの


自分が、ボクが愛した人は裏切り、死んでしまうの


まるで、神様に孤独になれとでも言われているみたいだ


冷たい亡骸を抱き締める


暖かったあの人の体温、あの人の花のような笑顔、甘い花の匂い、真っ白な服


それが全て、無くなった


ねぇ、もう涙も枯れてしまったよ


一粒の涙すら零せないよ


一度で良いから、どうか


あの日のように手を差し出し笑ってみせてよ






❀。.............................。❀



───夢だ


懐かしい、夢


今ではもう、どうでもいいけれど


ただの思い出にしか過ぎないけれど


薄暗く、本や研究器具の散乱した部屋


そんな部屋にある天蓋のある黒いベッドから這い出てきたのは足元にも及ぶ黒い髪と、光の無い黄金の瞳を持った青年


少し開いた窓のカーテンから部屋に入る光見て深く溜め息をついた


朝は嫌い


寝起きの光は、影には眩し過ぎるから


服を着替えて、髪を結んで…


段々と部屋の外に出なければならないと思うと、溜め息が止まらない


硝子で作られた白と青のクラゲのピアスを付ける


ガチャ


扉を開く音


外を出ればまた、憂鬱で、つまらない一日が始まる










「───はぁ…」
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