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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/20 18:05 (No.95856)削除
「お姉ちゃん!」
そうやって後ろから走って抱きついてくる薄い金髪のショートヘアの女の子。
そうして、それを抱きしめ返す薄い金髪の三つ編みの女の子。

これは昔の話。

無垢で純粋な女の子であったころのお話。

消えてしまった“あの頃”の話。








とある町で可愛らしい赤ん坊がうまれた。
薄い金髪と赤い瞳が愛らしい子供。

それがロージー・インピュア、彼女が生まれたときだった。

すくすくと育った。
幸せに愛を与えられて育った。
15歳下の妹のアンジュもいた。
家族皆で笑って幸せに…暮らしていた。

ロージーはアンジュが大好きだった。
可愛いくて綺麗な天使みたいな大切な妹。

「アンジュ!今日は何をして遊ぼうか?」
「ならお姉ちゃんと一緒にねお散歩する!」

って姉妹仲良く毎日遊んでいた。
その様子を両親は微笑ましく見守っていた。

「アンジュ…私の大切な妹、大好きな天使。守ってあげるからね。」
とロージーはアンジュの頭を優しく撫でいた。
「えへへお姉ちゃんのおてて大好きだよ!暖かいね綺麗だね。」
とアンジュはそれに答えるように笑っていた。

とても幸せな日々だった。

けど長くは続かなかった。

ロージーが80歳でアンジュが65歳の頃だった。

とある家族が越してきた。
ハーフエルフの家族だった。
隣の家に住んでいたから自然と話すことが多くなった。
それに、そこの家の男の子はロージーと同い年だった。

それがカイン・エインエレ。

これがロージーの…いいや…この出会いがロージー達家族の幸せを人生が壊れていく始まりの合図だった。

「ねぇカイン。なにをしているの?」
とロージーとアンジュは仲良くしようと話をかけていた。
そしたらカインは優しい青年のような笑みを浮かべて
「お母さんにプレゼントしてあげようと思ってね。」
と笑った。勿論…作り笑いだけどね、まだ何も知らない無垢な少女たちは騙されてしまった。
その偽物の善人に。

ロージーとアンジュはカインと仲良くなった。
友達になった。
アンジュはよく
「カインお兄ちゃんとお姉ちゃんはお似合いだと思うよ?二人共優しくて大好きだもん!」
と言っていた。
そんなアンジュの頭を優しく撫でて
「アンジュは可愛いね。アンジュの方が優しいと私は思うよ?いい子いい子。」
と微笑みかけていた。

こんな幸せな日常がずっとずっと続くと思ってた。





ある日、アンジュが行方不明になった。
ロージーは朝から晩まで必死に探した、両親と一緒に探し続けた。

毎日、毎日、毎日

そうして…探し続けて5日が経ったころ、アンジュが見つかった。
変わりはえた姿で。


愛しい綺麗な可愛い子

大切な妹

純粋で無垢なる天使は

その白い羽を汚されて

何も発することがない

空っぽの器になっていた




泣いた

何度も何度も泣きわめいた。
苦しくて辛くて死にたくなった。
守れなかった。守りたかった。
大切な天使、ロージーの妹。
ロージーの天使。
もうそんなものはこの世にはいない。

そんなロージーに声をかける者がいた。
優しい偽物の善人が。
破滅へと導く尖り耳の彼が。

「大丈夫。俺がついてるよ。」

その手を…ロージーは取ってしまった。
酷く汚れた悪魔の手を。
カインの手のひらを。

最初は幸せだった。
ロージーはカインと恋人になった。
周りは祝福してくれた。
きっと…アンジュも…と思っていた。
だってアンジュはいっていたから。

「お姉さんとカインお兄ちゃんはお似合いだよ!」

って

ロージーは夢を持っていた。
「綺麗な庭のついた家で、好きな人と幸せに暮らすの。カイン素敵だと思わない?」

それに対してカインは何も言わずに微笑み返すだけだった。


そんなある日のこと

破滅へと導かれる日のこと

ロージーは町を歩いていた

けど夜になりかけており日は沈みかけていた。

そんな時にカインを見かけた

ほかの女といる所を

目を疑った、気のせいだと、そうして詰め寄った

そしたらカインは
「なに?まじで付き合ッてるとか思ッてんのかテメェキモ。ンなわけねェだろうが。」
と吐き捨てられた。

訳が分からなくて

どうしたらいいか分からなくて

それに追い討ちかけるように、カインに寄り添う女が
「なぁに?この子が今のキープしてる子?前はこの子だったっけ?あっこの子もいたよね?」
とくすくすと笑っていた。

目の前が真っ暗になりそうだった。

この場から離れたくて辛くて…ロージーは走り去った。

それがいけなかった。

傷心して何も考えられないロージーに悲劇が襲った。

外はもう暗闇で周りに誰もいなかった。

口を塞がれた

服を破かれた

殴られた

蹴られた

気持ち悪いものが無理やり中へと入れられる

何かが壊れて消えていく音がする

なのに何故かそれが埋められる音がする

フラフラとした足取りで帰路についた

そこでカインに見つかった
ニヤリと笑う下卑た笑み

「ロージー?まさかヤられたか?マジかよww…まァいいか。なァオレにも付き合えよ。」

拒否権なんてない

抵抗する気力もない

愛も何も無い乱暴な行為

また何かが消える音がした

「アンジュよりもいい体してんなァ?アイツは泣くから面倒いオンナだったナ。」

とぼそりという

なんでここでアンジュが出てくるのかと考えた

そうしてロージーは理解してしまった

天使を汚したのはこの男だと

「早く家に帰ッてやれよ。面白いもんが見えるぜ?」

と気味の悪い笑みで話しかけてきた

嫌な予感がした

急いで帰った

「お母さん!お父さん!」

もぬけの殻…いや違う

飛散した肉の破片

息をしない

ふたつの肉の塊

愛した家族のカケラ

「イヤァ…面白かッたぜ?」

とカインは笑っていた

…ロージーはもう何も感じれない

感じることが出来なかった

無垢なる純粋な少女は壊れきった

“ロージー”なんてもういない

愛を信じたのが馬鹿だった

愛なんて存在しない

気持ちの悪い代物だ

町から離れ旅をしていれば、声をかけられる

その度に抱いて抱かれてを繰り返す

一時の偽物の愛を繰り返す

それで良かった

それで埋められるものなんてないのに

誤魔化して誤魔化して

“遊び人のロージー”で生き続けた

それでいた方が生きやすいし
楽しいし
それにそれに
クソみたいな屑みたいな人生を歩んでる
泥にまみれた人生を歩んでるロージーにはピッタリなのだと思ったのだ

ロージーは今日も夜の街をあるく
一時の偽物の愛で空いた穴を埋めるように

「あ〜暇ァ...なんか丁度いい食べ頃の男いないかなぁ?」

とヒールをカツカツと鳴らしながら歩く

予定をドタキャンされて苛立っていた

その先で見かけた丁度よさそうな男を見かけた

別に誰でもいいし、この人にしようと

「ねぇ?お兄さーん?アタシと遊ばね?」
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柚子カレーさん (8zml5wu2)2024/2/12 23:54 (No.94969)削除
ねえドロシア。僕たちの夢見る「ドロッセルバルト」(御伽の王様)。どれほど願ったって、君にガラスの棺は与えられないよ。
ねえフリート。僕たちの大切な「オトフリート」(名宝の番人)。どれほど懇願したって、君の宝箱はもう空っぽだよ。
ねえユビィ。僕たちの割れんばかりの「ユーベル」(歓声、喝采)。どれほど叫んでみたって、君の演目は終わったよ。
ねえライラ。僕たちの輝かしき「ライマール」(騎士であり歌手)。どれほど呪ってみたって、君の声を奪う魔女はいないよ。

ねえ、僕たちの──

………最悪の夢見だった。本棚に、捨てることも出来ずに残された、絵本の表紙。それが私を睨んでいる。隣の部屋からは、お姫様たちの楽しげな声。いつもは聞くだけでも楽しいそれが、今はどうしてか耳障り。

ねえ、僕たちの愛しい愛しいお姫様、ドロッセルバルト・オトフリート・ユーベル・ライマール。
かつて幸せなお姫様だった子。
王子様、迎えに来た?
そもそも男って、王子様になるような綺麗な生き物だった?

次の瞬間、ドロシアの足がティーセットを薙ぎ払う。テーブルを引き倒す、カーテンを引き裂く。隣の部屋の子供の声は、静かになっていた。

「…………俺は、お姫様じゃないよ」

愛を謳って、恋を謳って、夢を見て。
何一つ叶わないと知ってしまったその少女は。

「王子様でもないけどさ」

夢の形をした化け物に、己自身が成り果てることを、選んでしまった。夢の形で近づいて。少女の夢を食らう悪魔に成り果てた。

嗚呼ドロシア!ドロッセルバルト!僕たちの夢見る王子様!
上手から下手へ流れてしまえば、もうゼロには戻れないよ!
サスが照らす真ん中。ゼロから奈落へ落ちた僕らの王子様!
一人で落ちるのは寂しいだろ?大丈夫、僕らもここにいる!
みんなで心中しようぜドロシア。それなら寂しくないだろ!

「あぁ、僕たちのアントニー・グレゴール。傍観者の侯(きみ)」

奈落で足掻く私を見ていて楽しいか?
セリに裂かれた胴は、美しかったか?
私達は緞帳の向こうでしか踊れない?
銀橋も歩けない私が君に見えてるか?
大階段から滑り落ちた私は滑稽だろ?
花も背負えず踊る私はそこにいるか?
ロケット落ちした私を笑ってんだろ?

「なぁ、グリム、私の運命の三女神」

いつか、もう一度。
サスの下で踊りたい、それだけなんだよ。

「私はお前たちを、いつか引きずり下ろしてやるからな」

汚い男も、醜い女も存在しない。夢と希望で彩られたその舞台を。私はまだ、夢見ている。ただ、それだけのこと。
柚子カレーさん (8zml5wu2)2024/2/19 23:55削除
「ごめんね、ごめんねドロシー。僕たちのドロッセルバルト(王様)」
「大丈夫だよドロッセル、大丈夫、僕たちが守るからね」

枷をつけられた子供たちが、部屋に並ぶ。その枷は、鎖すらなく床に設置されているものだから、立ち上がることも出来ず、無造作に四肢を床に放り出して、子供たちは転がっている。けれど、四肢の揃った子供は居ない。
その中心に据えられているのは、ひとつの玉座。金の装飾に、赤い天鵞絨の座面。そこに固定されているのは、一匹の蜘蛛。足を全ておられ、動くことも、立ち上がることも出来ないまま、標本のように、数本の細長い釘で保定されている。

「ごめんね、わたし、わたしがちゃんとしなかったから」

子供たちは、蜘蛛に謝り続け。蜘蛛は、子供たちに謝り続ける。悪趣味な人間の目と耳を楽しませるためだけの部屋。

ドアノブの捻られる音に、子供たちの肩が跳ねる。蜘蛛は、酷く脅えた顔でドアを見る。
蜘蛛を含めて25人いた子供たちはいまや10と少しだけ。五体満足なものなど、どこにもいない。
入ってきた男は、一人の少女に目をつけ。その枷を床から外す。

「アイーダ!やめて!手を離して!いやいやっ!!」

必死に手を伸ばす蜘蛛。グラグラと体がゆれ、保定釘が傷をえぐる。じわ、と天鵞絨に広がっていく、赤い色。よく見れば、天鵞絨の赤は、流れ続ける彼女の血だ。ガタガタ揺れるその椅子の足を伝って、血が床に広がる。

アイーダと呼ばれた少女は、同じ部屋の中にある、テーブルに固定される。男が取り出した斧に、床の少女たちはサッと目をそらす。だが、蜘蛛はそらさない。否、それを許されていない。目を閉じても構わないけど、その時は2人食べるよ。残酷な宣告。それが蜘蛛を縛る。

ごちゅん、という音がして、斧が振り下ろされる。子供の悲鳴が、部屋の中に響く。骨によって止められてしまった斧を、男がもう一度振り上げる。

「やめてっ!やめてよぉ!!!」

蜘蛛の叫びなど意にも介さず。ごつ、ごちゅ、ぐち、ぶち。ばきっ。
一度で綺麗に断たれなかったその断面は、荒れに荒れ、見るも無惨。アイーダは、痛い、とも、苦しい、とも言わず。

「ごめっ……ごめんね。ライラ。だいじょぶ、だいじょぶだからっ。ね、ライマール(僕たちの、歌姫)。そんなかお、しないで」

そんなに叫ぶと、喉が潰れちゃうよ。にこり、と、蜘蛛に笑顔を作ってみせる。ライマール、なんて。その時初めて呼ばれた名前だけれど。蜘蛛にはそれが己を指す言葉だと、理解出来た。生まれて、名前もない自分に、彼女たちは名前をくれた。ドロッセルバルト。御伽の王様。僕たちの王様。けれど守れなかった。蜘蛛は悪い狐に騙されて、今や俎上の鯉。踊るための足は全ておられ、彼女たちを見届けるだけの、はだかの王様。
だから、ライマール、なんて。蜘蛛には背負えない。騎士にして歌手。護れもしない、騎士。蜘蛛は、嫌だ嫌だと喚いて、必死に手を伸ばす。とうとう、玉座が倒れる。保定釘が、蜘蛛の傷をさらに広げていく。これだけの無様を晒す蜘蛛を、それでも彼女たちは、否定しない。
ねえ僕たちのドロッセルバルト。私たちの夢見る王様。君の言う、歌劇団はね。本当に楽しかったんだよ。

切り落とされた腕が、男の口元へと運ばれて。ぐに、ぶち、べちゅ。嫌な音を立てながら、食べられていく。火も通していないその肉を、口の周りを汚しながら、楽しそうに食べる男に、蜘蛛の口も歪んでいく。

「ころすっ!!ころしてやるっ!!!ぜったいにころすっ!!!!!」

誰かの悪意や負の感情から生まれるのが悪魔なら。彼女達のそれからは、何が生まれるのか。
男は、楽しそうに子供を食らう。あぁ、本当にいい買い物をした、と、満足気に笑いながら。

まだまだ子供は十数人残っている。地獄は、まだ終わらない。
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/19 22:44 (No.95782)削除
どうして私が生きているのだろうか

兄が死んだ

私の代わりに死んだ

私のせいで死んだ

何もかも私のせいだ

出来損ないで弱くて惨めな私のせい

なのになんで…

「私がこの座を貰わなければならない…」

身に余る相応しくない肩書き

兄の肩書き

兄の席なのに

「私は兄さんのように強くないのに…」

兄のようになれるだろうか?

いやならないといけない

兄のように

兄にならないといけないから

「…弱い私は…いらない…なら…何をすればいい?」

兄になるためには

弱い自分を捨てるには何をすればいいだろう

弱さなんて消えないのに消えたように思いたかった

テーブルの上に置かれたナイフ

それをそっと手に取った

「そうか…なくせば…兄さんに近づけるだろうか?…兄さんになれるだろうか?…」

そうして腹を貫いた

血がぽたりと出てきて止まらない

痛みが苦しくて泣きたくなるけど

どうでもいい

「兄さんにはこれは無いだろ?…なら私には必要ない…“弱い女”には必要ない。」

ぐちゃりと嫌な音がする

嗚咽が聞こえて消えていく

“女”が取り出され落ちていく

グズグズとした“女の塊”がボトリと落ちて崩れていく

焼ける肉の臭いがする

針を通す音がする

涙が枯れる音がする

「兄さん…少しでも貴方になれただろうか?」

そこにはもう“女の抜け殻”しかいなかった

“弱い女”は消え去って“火鳥 蓮花”は死んだ

そうして“火鳥 蓮花”として生まれ落ちた

女にも男にもなれぬ

ただ肉塊の器として
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緑茶さん (8z88g5i0)2024/2/19 22:25 (No.95775)削除
【Εάν οι γονείς είναι γονείς, τα παιδιά είναι επίσης παιδιά.】



怖い


怖い


怖い


ボクはここにいても良い?


怒られない?


あれとの子供は?


できてない?













ほんとうに?













血が溢れる。


視界が真っ赤に染まる。


お腹が痛い。手も真っ赤。


お腹に赤ちゃんがいるなら、いたら、殺せばいい。


悪くない、ボクは悪くない。


悪くない…。


『アンタのせいでアタシの人生はめちゃくちゃになったのよ!?』


『アンタなんて産まなければ良かった!!!』


『産まなければあの人に愛して貰えたままだったのに!!!』


『ねぇ、なんで生きてるの?!』


『なんで産まれてきたの?!』


『なんでアタシを選んだの?!』


『アンタなんて死んじゃえば良いのに!!!!!』


ボクのせい…


『死んだよ。お前のせいでな。』


『モネはこいつのせいで死んだも同然だろ!!!』


ボクのせい


ボクのせいでお母様は死んだ


モネも死んだ


ボクのせいでみんないなくなるの?


ボクが悪い子だから?


人殺しだから?


ひとごろし


赤ちゃんを殺すことは許されるの?


ボクが悪くても、許される?


許されない


誰も許してくれない


あの子も、ボクのことを嫌っちゃう


好きなのに


あの子のことが好きなのに


いやだ


嫌われたくない


嫌いにならないで


「きらいにッ…。きらいに…ッならないで……ッ…。やだよ…。いやだよ…ッ…。ボクには…ボクにはきみしかいないのに…ッ。」


痛い。


苦しい。


治したい。けど、治すのも怖い。


あの時、モネを治せなかったボクが、治して良いはずがない。


裂いた腹に、幻の命が見える。


いらない。


いらないから。


来ないで。


産まれないで。


いらない。


ボクはきみなんていらないから。


あの子だけがいればいいから。


あの子だけでいいから。


何回も、何回もお腹を裂く、刺す。


髪も、肌も、白いものが全て紅く染まる。


いらない。


いらないから。


赤ちゃんなんていらないから。


やだよ。


やめてよ。


なんでボクなの。


なんでボクを選んだの。


ボクは選んでないのに。


ベッドのシーツも、何もかもが血で染まった。


《清廉潔白は、穢れてしまった》


《もう戻ることは無い》


痛いけど、苦しいけど、辛いけど


もうどうでもいい


ボクはあの子のためになにもできなかった


あの子のためのものも、なにもかもがだめだった


うばわれた


愛しているのに


あの子のことを心から愛しているのに


あの子だけが、ボクの__なのに


なんで


なんでボクは


《今更気づいた、眼前に広がる血》


血。


モネ


「ぁ、ぁぁあぁああぁぁぁッ……ッ……。」


嫌だ、違う、


ボクが、


ボクがあの時、


ボクのせいで、


モネが、


モネは、


ちがう、


ちがくない、


ボクはみんなみたいになれない


ボクは穢れてるから


「ごめんなさい。」


お願いだから、こんなボクでも愛して


《少女は痛みに苦しみながら泣き続けた》


《治すことも、痛みも、苦しみも、何もかもを忘れて。》














ねぇ、きみは穢れてるボクでも愛してくれる?


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さん (8zuyld7s)2024/2/19 21:45 (No.95765)削除
成績 B

関心意欲態度 A

運動 B

人間関係 B

協調性 B

リーダーシップ C

出席日数 88日
欠席日数 4日

備考 真面目な生徒。図書委員会所属。
将来の夢がないため探索中。

総合評価 B _以上。




__________
普通の子だった。
特に目立ったところもない。
特技もない。
長所も短所も特に言えない。

普通の女の子、ピンク・エスピーナ。

スポットライトなど当たらないただの悪魔ちゃん。


__________
小さい頃から聞き分けの良い子供だった

あまり泣かずに、

まるで親の言うことが分かっているような反応を見せたんだとか。

好き嫌いはないし、物欲はないし

唯一興味があるのは『おとぎ話』の本だけだった。

だけど、毎日幸せそうに笑っていたんだ。



__________
学生時代も変わらない、

黒い髪の毛は三つ編みにして

少し重たい前髪で出来るだけ目線が合わないように

それでも友達も居るし、ある程度社交性はあるし

まぁ大勢居るなかの1人ってだけ。

消してはみ出ず、個性を出さず。

秀でた才能もなくて…

今思えばなにが面白かったんだろ。


__________
そんな真面目ちゃんの憧れは

クラスの明るいあの女の子。

明るいブロンド色の髪に、お人形みたいな瑠璃の目

だれもが答えるの、そう 【お姫様】って。

けれど本人は謙遜しながら笑うのだ、上手に

いいな、イイな、どうして…

「__"」

この黒い感情はなんだろな。


__________
ピンクが終わった日、

『普通』で居るのが飽きちゃって

『普通』が分からなくて

『異常』に憧れた。

学生って息苦しくなって逃げ道を探すのが上手なんだ

少し噂を聞いて夜遊びへ…

そこで知っちゃった甘い罠に

ピンクは虜になっちゃった

『酒』…『性行為』…『薬』

全部全部覚えてしまった密の味。

解いた三つ編みの髪の毛は軽いカール

その場で切った前髪はバラバラ

それもまたピンクのチャームポイント

飢えを埋めた。普通から離れたくて。

だって『お姫様』のようにみんな求めてくれるから

ピンクはおとぎ話の主人公になれるのだ…



さよなら


『普通』のピンク。



そして、



はじめまして


『異常』のピンキー。




________
PINKY

性格.態度C

容姿A(個人差あり)

武器 B

能力 B…?

備考 エスポワール魔法団 団長と接触あり。
薬物依存者。異常な幸せ思考持ち。

総合評価 B _以上。
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ヘルさん (90xdn9d1)2024/2/18 20:44 (No.95648)削除
これはもう何年の話になるのだろうか、鬼を忌み嫌い鬼の家族を襲撃した出来事を。
現在その家はもうぐちゃぐちゃになっており
もう人が住めないであろう。そんな所に1人
男の足音がした。黒い長い髪の毛を簪2本で縫い上げ着物を揺らす。
彼はこの地に着き声を漏らす。「俺の愛娘は…、零落はどこにいる!」
彼の名は鬼灯、鬼灯艶歌(えんか)、鬼灯零落の父親だ。彼は自分の愛娘を探しているのだ。
今から5年前、この家の住んでいた彼ら「鬼灯家」は人間により殺された。
だが犠牲は母親と兄だけ、彼は女探しに行っていた。
朝方に酔っ払い帰ってきたら家はこんな状況になっていたのだ。母親と兄の遺体はこの場所にあるのに愛娘、零落はいない、彼は家を襲った者たちに愛娘の居場所を探しただが全員首を横に振るそれが癪に障り首を切った。途方に暮れていた頃ある物を思い出す。そう思えば。
「鬼灯丸」の小刀と妻が羽織っていた紅の上着がない、あの子が持っている。
あの子は生きておる!と希望を持った。
事件が起こり2年後、
「我が愛する娘はもう17歳になっている。飛んだ別嬪になっているのじゃろう」と1人新しい家の縁側で言う。そんな時に1人の足音がした。彼は身構えた。「鬼灯丸」の刀を持った。もしも人間だったら…。と思ったら人間では無い。
彼に似た黒い短いの髪の毛に真っ赤な赤い目そして我が妻が羽織っていた紅の上着。
我が愛する愛娘だ。思わず縁側から飛び出し通り過ぎようとする彼女の肩を掴んだ。
彼女はびっくりしているようだ。顔つきも愛娘だ。「零落!」と大声を出した
彼女はビクビクしながら「父様…?」とおずおず声を出す。
あぁ!我が愛娘だ!と思う。実に嬉しい事だ。
「5年前は居なくてすまなかったこれからは…」と言う時に彼女が遮って言った言葉が

「縁を…切りましょう…」

と言われた。

「何故だ?何故縁を切るのだ?」

と聞いたら母様や兄様を虐めてたからです…。と言われ、ぐつぐつと怒りが湧いてくる。

「もう…。関わらないでください」
と言い我が娘は去っていった。
















何故だ?何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!






何故縁を切る?意味がわからない。そうだ…。あの子も我が妻のように可愛がればいいのだ…
絶対に娘を連れて戻してやる!!彼はそう誓った。



今でも彼は三年間彼女を探している。彼はMAGに娘が入っている事を知らない。
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フィンさん (91ah0q9z)2024/2/16 21:45 (No.95371)削除
これはとある平和な朝のお話。
何の変哲もない、平和な日常のお話。悪魔や呪いなど関係ない。

アズサ「おに〜ちゃ〜ん 朝だよぅ〜 お〜き〜て〜」

今日は休日。2人とも指令が出ない日。
自由人なアークは今日も寝たいだけ寝る。一方でアズサは早起きし、アークを起こそうと今日も今日とで1人奮闘する

アズサ「もぉ〜 早く起きて〜」 

アーク「……」

アズサ「むぅ……」

早く兄と遊びたいアズサは全然起きないアークに不満なようだ。しびれをきらし、アークの上に乗っかり、ゆらゆらと動く。

アズサ「起きないならこうしちゃうよ!えーい!」

アーク「…?」

アズサ「? 今おにーちゃん起きた?」

アーク「…なんで俺はアズサにまたがられてんだ?」

アズサ「おにーちゃんが起きないからでしょっ!二度寝しちゃ駄目だよ?おはよー!」

互いの吐息を感じる程ピッタリとくっついき、アークの目を覗き込むアズサ。アズサの髪がアークにかかり、むず痒いようで…

アーク「分かったよ。起きる起きる。おはよう。そしてどいて。」

アズサ「あぁ、ごめん。重かった………?」

アーク「重くはないけど、髪がかかってきて痒い。」

アズサ「なるほど。」

アーク「てかちゃんと服着なよ。」

アズサ「どうせおにーちゃんしか居ないし大丈夫だよ〜。それに、おにーちゃんになら見られても恥ずかしくないもん」

 実はアズサも割と起きたばかり。下着とキャミだけの状態でアークにまたがるなんとも異質な光景だった。
 アークは流石に起きるか。と起き上がる。しかし、急に動いたため上に乗っていたアズサがバランスを崩し、押し倒す形に。そして…

アズサ「?!」

アーク「!」

……キス。事故った。お互いに驚き、アズサは急展開に耳まで赤くなる。でも大好きな兄とは言え自分からこんな事をする勇気がないため、事故としてだがこの折角の機会を逃すまいとその時間をしばらく愉しもうとする。

アズサ「んちゅ……ん…♡」

夢中になり、頬が高潮するアズサ。一方でアークは今の状況を理解できず、「?????」状態。ただアズサに唇を塞がれているため何も聞けない。

アーク「……。」

アズサ「ん…♡ ハッ!おにーちゃん、ごめん!急に起き上がるからびっくりしちゃって…そ
    の…えっと…」

頭が真っ白になり、必死に言い訳しようとするも言葉が出てこない。アークはそもそも状況を理解できていなかったため、特に何も思っていない。

アズサ「と、とりあえずっ!おにーちゃんももう起きてよね!」

アーク「起きてるよ〜」

 アズサに後押しされ、訳もわからず布団から出る。超薄着であるため少し寒いようで、アズサは布団から出たアークにもピタッとくっつく。洗面台で歯を磨くアークの寝癖を、後ろからアズサが自分のくしで直してあげ、ほぼ同タイミングで着替える。

アーク「お腹減った。朝飯作るか。」

アズサ「あたしも手伝う〜」

アーク「包丁で指切るなよ?」

アズサ「流石にもうしない!」

アズサよりもアークの方が料理は上手い。手先が器用だからだ。おおらかな性格をしているアズサは危なっかしく、よく包丁で指を切ってしまっていた。

アーク「今日は指切ってない?」

アズサ「いたぁぁぁい……」

アーク「もう切ってた…」

和気藹々とした空気が部屋を満たしていた。先程の事などなかったかの様に。実際、アークはもうすっかり忘れている。

 しばらくして、2人分の朝食が完成した。

アーク「いただきます。」 アズサ「いただきまぁす♪」

食器の音と共に2人の談笑の声が響いていた。
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/16 20:28 (No.95352)削除
とても綺麗な人だった

月明かりに照らされて白銀のごとくかがやく白髪

全てを見透かしたような透き通るような琥珀色の瞳

雪のように柔らかく傷一つない白い肌

一つ一つの動きが言葉が洗練された月から舞い降りた天女のような人

尊敬をしている大好きで愛してやまない人

それが僕の姉上、貴虎小菊...その人だった

姉上は僕と双子の姉の日葵と違った。
姉上は白虎として生まれたのだ。

白虎として生まれた姉は毎日のように稽古を重ね、一日たりとも休まる暇などなかった
僕が物心ついたときからそうだったかは...きっと姉上はずっとそうだったのだろう

姉上が稽古に勤しみ、剣を振るう姿は菊の花のように美しくて大好きだった
最初は純粋な好意だった...愛だった...憧れだった
それはいつしか恋心へと変化した
それでもまだ純粋に姉上を愛しそばにいたいと言う思いだけだった

姉上は優しかった
魔法を使えない僕と日葵の頭を撫でては魔法を見せてくれた
その魔法はとても綺麗で、姉上の心の純粋さを見ているみたいだった。

そんなある日のこと...僕と日葵が5歳で姉上が10歳の頃のことだった

夜中に目が覚めてお茶でも飲もうかと家を歩いていた時に〝パシン〟と鈍い音が聞こえた。
誰かが何かを叩く音だった。
気になってその方へと足を進めると...そこは稽古場。
姉上が毎日、父上と稽古をしている場所。
扉の隙間が開いていたから覗いてみると...そこには衝撃的な光景が広がっていた。

父上が姉上を叩いていた。
手を使うだけでなく竹刀でも。
会話は聞こえないけど...僕にはそんなこと関係なかった。
目に入ったのは姉上の顔。
反抗的に父上を睨むその琥珀色の淀みのない綺麗な瞳が一瞬淀み怯えていた。そうして潤んでいた。

…僕は壊れてしまった。いや違う...壊れてなんていない...気づいてしまったんだ。

「...なんて綺麗なんだ...姉上...」

姉上の怯えた目が涙を貯めるその瞳がとてつもなく綺麗であることに。
どんな表情よりも素敵であることに。

その日から忘れられなくなった。
この日の顔を、姉上の方の表情を!
もっと姉上を好きにって、愛して、恋して、壊したくて、歪めたくて、めちゃくちゃにしたくなった。
僕のモノにしたくなった。

でも姉上は全然泣かないし怯えないし絶望しないから...どうしようかと考えた。
だからまず...お友達を減らすことにしたんだ!
姉上のお友達に僕だと気づかれないように姉上は恐ろしい虎だと教えた。
そうして...そのお友達を襲うように金を積んで暴漢に頼んだ。
そしたら...見事に作戦が成功した。
姉上は暴漢をぶっ飛ばしてお友達を助けて...嫌われて離れていった。
その時の姉上のショックを受けて悲しむような絶望をしてしまうようなそんな顔がとても綺麗で愛おしくなった。

もっともっと見たくなった。次はどんな顔をしてくれるのだろうと楽しみになった。

姉上が父上と母上から愛されてないことは知っていた。
けど何もしなかった、むしろもっと姉上が厳しい仕打ちを受けて愛されないように仕向けるようにした。
父上と母上はころっと騙されてくれたから楽だったなぁ...
姉上が日に日に憔悴していくのが見えた。
分かりにくいし強がって毎日頑張って負けないと前に進んでいたけどね。
それでも憔悴していくんだ日に日に少しづつ少しづつ...それが楽しくて嬉しくて仕方なかった。

ある日のこと
「あれ?日葵どうしたの?」
と僕は日葵に声をかけた。そうすると日葵は「お姉様の衣類の一部が無くなってるんです!全く...どこの誰なのでしょう?桃も見つけたら私に教えてください!」だって。僕は一言「分かったよ。姉上のためだ、当然だ。」と言ってあげた。

そうして僕は自室に戻った。
「全く...姉上の衣類を盗むなんて不届き者は殺してやらないとなぁ...」とため息をつく。姉上は僕のものなのに...
誰も知らない自分だけが知っている隠し場所そこには姉上の写真もたくさん飾られている特別な空間。そうしてそこから白い布をそっと取り出した。
「姉上...本当に無防備なんだから...あぁいい匂い...姉上好きです大好き愛してます。」
姉上の匂いがするその布...姉上が身につけたものを少しづつ集めて残して僕のものにして...姉上も僕のものにするんだ。
もっともっと歪んだ顔を見てみたいなぁ...。


けど...それが叶わなかった。
姉上が家でをしたのだ。僕を置いてこの僕を...大切な弟置いていった!
ありえないありえない...なんで?
姉上は僕のものでしょ?
姉上の声も
姉上のその瞳も
姉上のその顔も
姉上の身体も
全部全部全部...僕のものでしょ?
許さない...愚かで可愛い僕の姉上
なら迎えに行くよ会いに行くよ。

大好きで愛してやまない僕のお姫様
迎えに行って2人で暮らそうね?
そうして君は泣いて喚いて苦しみながら僕と共に幸せに永遠に暮らすんだ。

だって姉上は言ったもの。
「貴方達が幸せならそれでいいのよ。」って。

僕の幸せは姉上が泣いたり、叫んだり、絶望したり、顔を歪ませてくれることだから叶えてくれるよね?
僕を幸せにしてくれるよね?

約束だよ...僕の僕だけの姉上
絶対に誰にも渡さないから。
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/15 01:35 (No.95187)削除
何度も何度も書き直したのだろう
毎日毎日書き続けたのだろう
彼女の部屋の鍵をかけられた引き出しの中にある数十枚にも及ぶ手紙の数々…

伝え方を知らない彼女が必死に書いた思いの丈の手紙である

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とある本に書いていた。手紙なら気持ちを素直に書けるって…気持ちの整理のためにも書いてみようか。日記よりも手軽そうだしね。
家は窮屈だ。正直…苦しい。
毎日…毎日…どれだけ頑張っても認められないのだから。愛されないのだから。
どうして生きているのか正直分からなくなるよ。
まぁそんなこと言ったって仕方ないのだけど。
今日も一日よく頑張ったね…小菊。
私だけでも私を褒めてあげないとね。
誰も褒めてくれやしないのだから。
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婚約者?馬鹿じゃないの!
また勝手に決められた…絶対に認めない。
どうしていつも私の人生を決めようとするの?
私の人生は…貴方達のものなの?
分からない…分からない…
嫌い……嫌い……大嫌い……
そうすれば、あっちから嫌ってくれるかしら?
分からない…気に食わない…嫌いよ…
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━━━━━━━━━━━━━━━
あの婚約者…ルーナって言っていたっけ?
凄いのでしょ…知ってるよ
…妬ましいなんて…醜いわね
私と違って…羨ましいなんて…情けないかしら?
嫌いよ…けどきっとこれは嫌いじゃないのよね
分からない…だって…自分の気持ちなんてとっくの昔に封じられたのだから


誰か……私を教えてよ
誰か……私を愛してよ
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━━━━━━━━━━━━━━━
なんなのよもう!
頭に来た…何よ何よ何よ
「特別扱いする理由はない」だなんて!
バカみたい嫌い嫌い嫌い…大嫌い…
何も知らないくせに
何も分かってないくせに
何も分かろうともしてくれないくせに

旅に出ようか…家を出よう
ここにいる理由なんて元々ないのだから
私がいた所で誰も分かろうとも何もしてくれないのだから

他人だった貴方くらいは理解しようと分かってくれようも歩み寄って欲しかった
━━━━━━━━━━━━━━━

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行く先も何もなく来たからどうしようかと思っていたらある人にあった。
ノアの方舟というところで働いている人らしい。

どうせどこに行くつもりもなかったし丁度良かったからそこに行くことにした。
ありがとう。今度、お茶でも奢ろうかしら。
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なんで?ルーナがいるのよ意味が分からない…
ただただ町へ出かけただけなのに…最悪な休日とは言えないわね。
あの人……こんなこと出来たのね…意外…
てか…なんなのよ…なんの本当に!
私のことあんな風に言ったくせに…愛だとかそばにいて欲しいだとか…その上キスまでしてきて…初めてだったのに

……頭から離れない…嫌い…やめてよ…
私のことをめっちゃくちゃにしようとするあんたなんて嫌いよ
馬鹿ルーナ
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ルーナ…私のこと本当に好きなの?
あーもう!あいつのことばっかり!
なんなのよ…やめてよ…心を掻き乱さないでよ…


好きになんてなる資格…私にはないでしょ
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…明日…あいつとデートするのよね
服なんてどうしたらいいから分からない

なんかまともな服あったかしら?
そもそも着物とかした持ってないし…
洋服の方がいいの?…あーもう分からない!


可愛いって、似合ってるって言って欲しいな
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━━━━━━━━━━━━━━━
デート…楽しかったわね
美しい…ってなんなのもう。でも良かった…褒めて貰えた。買って良かったな。
今度は別の格好をしてみよう。この際、洋服を増やすのもいいかもしれない。
そしたらまた褒めてくれるだろうか。

結局…私の負け…だって無理だもの…


ルーナ
好きよ…大好き…愛してる
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━━━━━━━━━━━━━━━
今は何をしてるの
こんなこと気になるなんてバカみたい

会いたい

声が聞きたい

触れたい

ねぇ…もっと傍にいてよ
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
家に呼ばれてごはんを作ってあげた
喜んでもらえて良かった…
今度はなにを作ろうか

結局…素直に好きといえなかった…言いたいのに言えない

分からないの表し方が

この気持ちをどう貴方にぶつければいいか

ごめんなさい

もう少しだけ待ってよ

せめてここでは素直になるから

愛してる
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
今日はあまり書くことないわね…
別に毎日書く必要ないのだけど
習慣だからなぁ……

ねぇ…ルーナ…私ね…幸せよ
だから…いつかちゃんと伝えるから
言葉にするから待ってて
愛してるって好きだって伝えるから

もうね貴方しかいないの
馬鹿みたいでしょ?
馬鹿にしていいから…そばにいて欲しい
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
明日はルーナが家に来るのね
掃除して置かないと

馬鹿みたいにドキドキして
馬鹿みたいに待ち望んでるなんて
昔の私がみたらきっと驚くわ……
でも…それでも…
貴方のことに落とされてしまったから
この気持ちには嘘をつけないの

ねぇ…ルーナ…これからも一緒にいてね
━━━━━━━━━━━━━━━

「…今日の分は…まぁルーナが来るし、明日の朝でもいいかしら。ご飯を作ってあげないと。」

そうして女は引き出しの中に手紙を終い、そっと鍵をかけて、愛する彼を待ちながら今日もまた一日を過ごしていく。
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さん (8zuyld7s)2024/2/14 01:50 (No.95080)削除
「アダムの敵全員殺すからさ、その時はアダムの心臓を報酬として俺に頂戴?」

出会って1言目。誰が想像したであろうか。

歴史が長く裏社会を支配していた闇組織アウトサイダー。

頂点に君臨する孤高の白い狼に向って生意気なことを言ったのは、

うす汚れた、黄土の狼。
長く伸びきったボサボサの髪の毛からギラつかせる目、清潔感もないシャツに丈の足りないスキニー。
そして白い狼に向かって吐き出すのは煙草の煙。

死にたいのか、それとも分かっていないのか、

周りに居た眼帯のジジイも、桃色のクソガキも、死んだ目の黒猫…目を丸くしたり、呆れたり、興味無さそうだったり。

これが後に忠誠を誓う…ルドルフの主人との出会いだ。

ルドルフの人生はあまり褒められたものでもない。

生まれはこの都市の少し北のほうの雪山。ツィルフリートは狼族の中でも大きな群れであり、人間になることの出来る獣人だ。

ルドルフは大人数兄弟の末っ子で、育児になれた母親も手を焼いたそうで、

敵わない兄たちに喧嘩を売る、人の食事は横取る、夜の遠吠えは酷い酷い

それでも元気に育ってくれればと母親は見守ってくれた。

んー

その時の暮らしは別の時にでもね、

そうだよ、今は主人と出会った時のことだった。

まぁ狼の時のクセって直らないもので、人間社会で生きていても出てしまうもの。

いわゆる遊び人って言葉の通りに夜を楽しんでいた。

そしたら少し危ないところに足が踏み入っちゃって、

裏社会の人に捕まったんだ。

ご丁寧にお縄なんて巻かれてさ。
自分は縛られる趣味なんてないのにね。

あまりにも手荒に扱うなら噛み殺してやろうとか思っていたんだけど…出会ったんだ

無表情で、空色の空虚な瞳で見つめる…アダムと言う男にね。

出会った時に運命だと思ったんだ、コイツは絶対なにかある。

そう思ったら縄も手癖で解いてしまって煙草に火を付け、アダムに近づいてしまった。

その後に…分からされちゃった。

何をって?色々と。

首輪付けられちゃったんだよ、逃げれない。

けど逃げる気はない。

俺の人生に色を塗ってくれた。

どこまでも、番犬として働こうではないか。

無価値だった命だから、命を与えられてしまったら主の命令以外で死ぬことはできないさ。

_____

懐かしいことを思い出した。今より少し若い時の話だ。アウトサイダーの中でも知る人も少ないルドルフの運命の話。

だって今のルドルフからは想像出来ないだろ?

だから嘘か本当かは当事者に聞いてご覧。

さて、主に会いに行こう。

重く、重圧感のある扉を3回ノックして、

「我らがアウトサイダーの首領、アダム様にお目にかかります。」

丁寧に、最愛の主人の足元に忠誠を誓うのだ。
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緑茶さん (8z88g5i0)2024/2/13 21:58 (No.95055)削除
【glacies papilio est infernum somnium】


この世には幸せな家庭と不幸せな家庭がある。


だとしたら、きっと彼女が産まれた家庭は不幸せだっただろう。


彼女……冬花のせいで。


❄┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❄



その赤子は、産まれる前から母親に忌み嫌われていた。理由は簡単。望んで孕んだ子ではないから。


無理矢理犯された末にできてしまったのだ。おろしても良かった。だが母親は、暗示した。


きっと旦那との子だと。あの忌々しい男との子では無いと。


現実から目を逸らしていた。


しかしどうだろうか?産まれたその赤子は、あの忌々しい男にそっくりだ!


醜い銀色の髪。冷たさの象徴のような薄い薄い水色の瞳。


自分と旦那の要素なんて、どこにもなかった。


だから嫌った。死んで欲しいと母親は今さっき自分が腹を痛めて産んだ子に、娘に、そう願った。


それからと言うもの、母親は旦那から奴隷のような扱いをされるようになった。


娘は、なにも知らない。すくすくと育てられる……


はずだった。


しかし、母親はその醜さと嫌悪と憎悪のあまり、娘の首を絞め、殺そうとした。


だがそれは未遂として終わった。何故なら……


首を絞めた両手が、見事なまでに凍りつくされたからだ。


「ぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」


母親は叫んだ。その冷たさで、死んでしまうと思ったから。


その声に気付いた親族たちはぞろぞろと野次馬の如く周りに集まって来た。


しかし、どれだけ優秀な魔法使いに診て貰っても、娘の氷魔法がどうしてここまで強力なものなのか…。原因は分からずじまいであった。


母親はそれから何度も娘を殺そうと試みた。


だがいずれも、娘が持つ氷魔法に邪魔をされ殺せずに終わった。


親族は何度も励ました。娘はなにも悪くない。誰も何も悪くないのだと。


だが、母親からしてみればその言葉はどうだろうか?


誰も、何も、悪くない?


あの男も?この娘も?


ならこんな世界は狂っているじゃないか!!!!


颯爽と泣き叫びながら家から飛び出ては、母親はしばらくの間行方不明となった。


その間、親族の者たちが懸命に娘を育てていた。


娘が3歳になった頃だろうか、母親は突然家に帰って来た。


皆、驚いた顔をした。まさか帰って来るとは思ってもいなかったのだ。


親族は皆、大いに喜んだ。旦那は、顔も見てくれなかったが。


だがそこから、この家庭は崩壊した。


不幸せと絶望。


混沌と狂気。


それらの手によって。


それは旧支配者の手による洗脳であった。


母親は、精神が衰弱しているところを付け込まれたのだ。


そして、洗脳されてしまった。


そのせいか、母親の家族にも…その刃は向けられた。


娘以外の家族、親族は全て洗脳されてしまった。


唯一、娘はその強大な氷魔法を利用しようと旧支配者が企んだため見逃されたが。


それからの日々は、娘にとって何よりも地獄だっただろう。


3歳と言うまだ幼い時から、あまりにも惨すぎる暴力と拷問の数々を受けてきたのだから。


何回も殴られ蹴られた。それで骨が折れても、何週間は治して貰えなかった。


治して貰えたかと思えば、次は何回も顔を刃物で刺された。目も刺され、鼻も刺され、穴だらけになるくらいに刺された。それも治されて元通りになったが。


耳に刃物を入れられ、鼓膜を破られ、耳を切られた。何も聞こえないのに怒鳴ってきた親族の顔は、今でもよおく覚えていることだろう。治して貰えたが、あの時の苦痛は今でも忘れることはできない。


舌を切られ、そして口内を彫刻刀で切られた。口から血が出たが、喋れないから散々好き勝手された。それも治されたが。


体中に熱い鉄パイプを押し付けられた。当たったところには跡がくっきりと残っていた。その熱さと痛みは、余韻のようにずっと残っていた。それさえも治されてしまったが。


爪を剥がされた。手と足、全ての爪を。剥がされた爪があった場所を触られ、痛みに苦しんだのに親族たちの顔は笑みもなかった。治され、爪は戻ったが娘の心は戻ることは無かった。


水が入っている湯船に頭を無理矢理入れられ、溺死させられそうになった。意識が白濁とし、もう死ぬかと思ったがすんでのところで止められた。


注射を刺され、毒を盛られた。体の中にある臓器全てが溶けるような苦痛。それをじわじわと味わった。心臓以外が溶けた時、治され解毒もされたが。


母親に腹を裂かれ、臓器を引きずり出された。その痛みは、何よりも痛かったが、優しい娘は母親はきっとこれよりも痛く苦しいことを味わったのだと合われんだ。しかし、そう思った矢先に母親は娘に叫んだ。


「アンタのせいでアタシの人生はめちゃくちゃになったのよ!?」


「アンタなんて産まなければ良かった!!!」


「産まなければあの人に愛して貰えたままだったのに!!!」


「ねぇ、なんで生きてるの?!」


「なんで産まれてきたの?!」


「なんでアタシを選んだの?!」


「アンタなんて死んじゃえば良いのに!!!!!」


なら、どうして治すの?そう聞きたかった。でも痛みで声も出せなかった。治して貰えたが、もうその時には娘は生きたいなんて思ってもいなかった。


元々生きたいと思ったことがあるのかも分からないが。


その次は眼球をくり抜かれた。何回も治され、何回もくり抜かれた。自分からくり抜かれた眼球の数々を見た時、ゾッとした。自分は、治癒魔法があるせいで生きているのだと。そう思ったから。


そして次は、四肢を切られた。錆びたノコギリで切られたからか、その痛みは想像を絶するものだった。四肢が全て切られた後、調理された自分の腕や足だったものを食べた。が、吐いてしまったから母親に腹を蹴られてしまった。その後治して貰ったが、あの時の味は口の中でずっと覚えてしまうかもしれない。


薬を盛られた。その時見た幻覚は、親族と母親だった。愛してくれる、そんな幻を見た。実際は暴力と拷問をいつも通りしていただけだが。


こんな数々の暴力と拷問を何万回をも超えて受けてきた。


その度に娘は思った。


(なにかわるいことしたの?)


(いたいのはいやなのに。)


(しにたい。いきていたいくらいなら、しなせてよ。)


(ゆるしてよ。)


(ごめんなさい。)


「うまれてごめんなさいッ…。ごめんなさい……ッ。ごめんなさい…。うまれてごめんなさい……ッ。ゆるしてッ…ゆるしてくださいッ……。」


何回、ごめんなさいとゆるしてくださいと娘は言っただろうか。


何万回言っても許しては貰えなかったが。


娘が15歳になった時。それは起きてしまった。


旧支配者が、家族親族を皆殺しにしたのだ。


母親はその時、いつものように娘を虐げていた。


その集中力は凄まじいものだった。


そのせいで死んでしまったが。


娘は殺される、そう思った。


旧支配者の存在なんて知らない。教養を受けていないから。だが、それでも分かる。漠然とした、本能的恐怖。それがこれなのだと。本能で感じた。


それから娘は、旧支配者が皆殺しにした家族の肉を強制的に食べさせられた。


抵抗すれば死。それが見えた。死ねはよかったのに。


それでも死ねなかったのは、目の前で死んだ、殺された母親を思い出したから。


怖かった。死とはああ言う残酷なものなのだと、理解したから。理解してしまったから。


だから死から逃げた。


全ての家族親族を完食した時、もう旧支配者はそこにはいなかった。最初から幻だったのでは?そう思いたくなるくらいに、跡形もなかった。


それから、娘はずっと汚い街を歩いていた。


すれ違う人々は、皆娘を避けた。


そりゃあそうだろう。誰だって、傷だらけで血だらけの娘と関わりたくはないだろう。厄介事の匂いがするのだから。


しかし世界は広いようで、物好きはいるようだ。


娘は、とある商人に誘拐されてしまった。


その時、娘は目隠しで目を塞がれた。


その時の暗闇は、眼球をくり抜かれた時と同じ闇だった。


そのせいで、娘は暗いところが嫌いになってしまったのは、あとのお話。


それからは商人に売られ買われを繰り返された。


時々買われた人に暴力を振るわれた。その度許しを乞うたが、やはり誰も許してはくれなかった。


しかしある時、商人を凍死させてしまった。


娘は焦った。


自分は人を殺してしまったのだと。


娘はそこから逃げた。


遠くへ、遠くへ遠くへ。


そんな時、たまたま通り掛かった貴族に拾って貰った。


その貴族の主人は、娘の出生を気にしないで関わってくれた。


いや、そもそもどうだって良かったのだ。


人を殺してくれる道具、ストレスを発散できる道具なら。誰でも。


主人の嫁からは毎夜のように折檻を受けた。


最初に会った時、娘が嫁を怖がったことが原因のようだった。


それから、主人の命令で何回も人を殺した。


何回も嫁から折檻を受けた。


そんな生活を一年送った時、娘は主人を間違えてしまった凍らせてしまった。


主人は動いてしまった。凍っていると言うのに。


大したことは無い。ただの氷だと見くびって。


その時、主人の肉体は割れた。


ガラスのように、


割れた。


われた。


われた


誰のせい?



娘のせい


娘が殺した


嫁、他の道具、主人の家族、メイド、執事からは忌み子だと蔑まれた。


そしてそれは、街全体に広がった。


娘は逃げた。ここがどこにある場所かも分からないのに。


街を歩く度に、石を投げられ、罵詈雑言を吐かれた。


「なんでのうのうと生きれるの?」


「普通じゃないもんね。」


「罪悪感とかないんだ。」


「死んで償えないの?」


「忌み子の癖に。」


「人殺し。」


人殺し。


その言葉が、娘に重たくのしかかった。


罪悪感なんてとうに感じている。


商人を殺した時から、ずっと感じている。


死んで人を殺した罪が償えるのなら、喜んで死ねるのに。


死を許してくれないのは、いつだって周りだ。


だが、娘に罰を与えようとする者が居た。


それはとある教会の神父であった。


神父は娘を無理矢理教会に連れていき、地下牢に監禁した。


「半月後の夜、お前に罰を与えてやる。これは裁きだ。苦しめよ。」


殺したくて殺した訳では無い。


だが1人、仲間が居た。


それは教会のシスターの少女であった。


歳は少し娘より上の、優しい少女。


少女は娘の事情を聞き、哀れんだ。そして責めなかった。


「キミはなにも悪くない。なにも悪くないよ。みんな分かってないんだ、汚いから。キミがどれだけ、今まで辛かったか、怖かったか、苦しかったか…考えれないんだ。私は、私だけはキミの味方だよ。」


少女は娘を抱きしめ、そう言った。


娘はその言葉を貰えただけで良かった。そう思った。


その言葉を貰えた、だから死んでも良いと思った。


だがある時、少女が娘を抱きしめた時、また氷魔法は暴走してしまった。


少女を凍らせ、砕いたのだ。


教会にいる他のシスターがそれを発見し、娘の処刑は早まった。


「なんて醜いんだお前は!!!!教会の大事なシスターまで殺すとは!!!!!もう待たない。猶予は与えない!!!!!今日の夜、お前を焼き尽くす!!!!!!!」


娘こそ、どうして自分はこうなのだと責めたかった。いや、責めていた。


唯一自分を理解できたはずの少女を、自らの魔法で殺してしまったのだから。


「なんでボクはふつうになれないの…?なんで…なんでボクは……ひとをこおらせちゃうの?ころしちゃうの?なんでッ……なんでッ……。」


こんなちから、ほしくないのに!!!!!


氷で作ったナイフで、何回も手首を刺した。それでも死ねなかった。


勝手に死ぬなと見張りの修道士が治癒をしたからだ。


自死も、許して貰えない。


そして、夜は来てしまった。


娘は木でできた大きな十字架に磔にされた。


そして神父は高らかに言葉を放ち、娘を豪火で焼き付くさんとした。


「この忌み子はかの貴族の主人を殺しただけに収まらず、この教会のシスターまで殺めた!!!!!到底許される行いでは無い!!!!!その罪を浄化するために、お前を焼き尽くす!!!!!!!!!!」


民たちは歓声を腹から出して喜んだ。


そりゃあそうだろう。凍らせて殺す忌み子が処されるのだ。喜ばしいことこの上ないだろう。


だが、娘は納得できなかった。


(ボクがわるいの?)


(ボクのせいなの?)


(ボクがちからをおさえれないから?)


(ボクがうまれたから?)


(ボクができぞこないだから?)


(ボクがあるじさまとあのこをころしたから?)


(ボクだって、ころしたくなかった。ころすきはなかったのに…。)


娘は気付かぬうちに涙を流していた。


「ボクだって…。ボクも……。ボクもふつうのせいかつがしたいのに…ッ…。ボクも、かぞくとくらしたい、おかあさまにあいされたい。……あいされたかったのに……ッ。なんでッ、なんでボクだけ……ッ……。」


ボクだってうまれたくなかったのに!!!!!!


そう叫んだ時、その街……いや、それをも超える範囲……。天空都市の半分を凍らした。


それは自分を燃やしていた炎をも凍らすもの、その範囲に居た者も凍らした。


天空都市の半分は、強制的に冬にされた。


娘はそれを無意識にしてしまったのだ。恐ろしい力。


娘はまた、自分の力に恐怖した。


いつか自分は、母親と同じくらいに大切な人ができた時……その人のことも、殺してしまうのではないか?


その恐怖は恐ろしかった。


それを助けたのが、魔女、勇者、賢者だった。


魔女が娘が凍らしたもの全てを溶かしたのだ。


そして魔女は娘に問うた。


『私についてこい。ついてくれば、力の使い方を教えてやる。』



❄┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❄



そして娘は魔女に拾われ、魔女が住んでいる城に住むことになった。


そこには色んな人がいた。


龍を従える子供。


体から色んな植物が生えている子供。


いつも飛んでいる子供。


様々な子が、住んでいた。皆魔女の弟子だと言う。


そこで魔女に教えられたのは、娘の氷魔法の暴走はそう言う体質であること。


そして、魔法は使い方次第で人を守ることが出来ること。


それから娘は、魔女に鍛えられた。


体質とは言え、制御できる努力をする。


他の魔法を使えるようになる。


漢字や世界についてを学ぶ。


弟子たちと学び、強くなることはそこまで苦痛なことではなかった。


ある時、龍を従える子供に問われた。


「なぁ、お前は名前ないのか?」


「…?」


「普通、名前あるだろ?俺で言うアグニとかさ。」


「ない……。」


「え?」


「アグニ覚えてないの〜!?この子、名前ないって魔女様言ってたじゃん!」


「…名前ないなら……わたしたちが付ける…?」


「え!名前って勝手に付けてもいいの!?」


「お、俺はネーミングセンスねぇからお前らに任せるぜ……。」


名前。そんなの、知らなかった。


普通は親に付けて貰うものならしい。だが娘は、親である両親に付けて貰うことはなかった。


なら、ずっと名無しなのかもしれない。そう思っていた。


『冬花。』


「え?」


『冬花だよ、名前。氷室冬花。氷室は氷を貯蔵する部屋のこと。冬花は、寒いのって冬だし、あんたは花みたいにちっさくて可愛いから冬花。……うん。ぴったりだね。』


魔女は既に、名前を決めていたようだ。


そして娘は、その時氷室冬花になった。


それから永い月日が経ったある日、魔女と修行をしていた時。突然言われた。


『冬花って名前ね、実はアイツ…モネが付けたんだよ。意外でしょ。』


「…はい。びっくりしました…。今。初耳で…。」


『アイツ、色んな人の思い出したくない記憶を見れちゃうからさ、……多分、冬花の記憶も見て、同情したんだよ。……で、わざわざ辞書引いてあんたに似合う言葉を選んだの。……可笑しいよね、自分で付けた癖に自分からは言えないんだからさ。』


モネは、記憶の魔法を使える両性のエルフだった。


魔女が言った通り、モネは周りにいる人の思い出したくない記憶を見れてしまう。


故に、きっとモネはその魔法で冬花の記憶を見てしまったのだろう。


そして哀れんだ。だから名前を付けようと、一生懸命悩みながら決めた。


冬花は嬉しかった。嬉しくて仕方がなかった。


だがその時期、旧支配者軍の支配が強まり、被害も大きくなっていた。


当然、魔女の弟子でも死人は出ていた。


モネはその頃から、仲間と距離を置き始めていた。冬花は、それに気づきながらも何も言えなかった。


ある時、城内でふたりはすれ違った。


冬花は、直感で嫌な予感を感じた。なにかなんて説明できない。だが、感じたのだ。何か、悪いことが起きるような気配を。


「……モネ、今日は闘わない方が良いですよ。」


「なんでだよ。今もどこかで旧支配者に殺されてる人がいるんだぞ。放っておけねぇだろ。」


「…なら、ボクも行きます。」


「………………好きにしろよ。」


冬花は、言った通りモネに着いて行った。嫌な予感が何かは分からない。だけれど、それを回避しなければいけないこと。それだけは、理解していた。


スラム街と呼ばれる場所。いや、それよりも有様は酷く、スラムとも言えないようなものだった。


無言で歩くふたり。


冬花は、助けたいと思っている訳では無い。ただ、魔女が助けてくれたように、自分もそれをしたら良いと思っているのだ。


そっちの方が、否定されないのと思うから。


なにか起きないか、と言う不安と心配に支配されていたからか、近づいていた気配に冬花は気づくことができなかった。


それは冬花の後ろにいた。


殺される。そう思った。


その時、冬花の体は投げ飛ばされ、視界を埋め尽くすような真っ赤が飛び散った。


それは、モネの血だ。


モネが冬花を庇ったのだ。


やってしまった。


(ボクのせいだ。)


(ボクが……。ボクが、他のことに気を取られてたから……。いや、それよりも……治さないと……。)


治さないと、そう思う度にあの時の記憶が蘇る。


何回も治されては暴力と拷問を受けていた、あの時の記憶を。


治す?痛いだけでは無いのか?


それは良いことなのか?


(やめて。思い出さないで。思い出したくない。)


息が荒くなる。フラッシュバックする、今見た血と、昔見た血が記憶と視界の中を飛び交う。


いやだ。


やめて。


みたくない。


ききたくない。


目を塞ぎ、耳を塞いだ。冬花の周りはだんだん凍っていき、旧支配者軍の者も、モネも凍ってしまった。


そして冬花の意識も切れてしまった。


『冬花!?大丈夫か!?』


目覚めた時聞こえたのは、勇者の声だった。


「……勇者様……。もね……モネは……?」


モネ。モネはどうなった?


だが、勇者が告げる前に同じ弟子の仲間であるエレクトが、真実を告げた。


「死んだよ。お前のせいでな。」


お前のせい。その言葉は重たく冬花に刺さった。


「……エレクト、その言い方はないでしょ。」


「事実だろ。こいつが助けていればモネは助かった。でもこいつは助けなかった。」


「それはっ……冬花は血が苦手だって、俺たちは知ってるだろ!?」


「じゃあ血が苦手だったら仲間を助けなくて良い理由になんのか!?こいつは、助けれた!!!でも助けなかった!!!モネはこいつのせいで死んだも同然だろ!!!」


「エレクト!!!そんなこと言っちゃダメだよ!!!」


冬花はまただと思った。


また、自分は罪を犯した。


許し合い、いつも一緒にいた仲間を見殺しにした。


紛うことなき事実だ。


あの時助けれていれば、モネは生きていたのに。


後悔してももう遅い。


だってもうモネはいないのだから。


『こら、エレクト。そんなこと言わない。今日はもうみんな休みな。後処理は全部賢者がするから。』


魔女がそう言えば、誰も何も言えなかった。言えないまま、その日はみんなそれぞれの部屋に戻った。


だが部屋に戻る前、エレクトは冬花にこう言った。


「死のうとするなよ。死んでその罪が許されるとかふざけたこと思うなよ。お前の罪は、生きることでしか償えれねぇんだからよ。」


部屋に戻ってからは、ずっと正気を保てなかった。


冬花は、ずっと後悔していた。


苦しんでいた。


あの時、何もできなかった。


自分の過去に苦しむばかりで、助けれたはずの仲間を助けれなかった。


冬花はベッドの上に潜る。


そして、シーツを濡らす小さな雨が降る。


「ごめんなさいッ……。ごめんなさいッ……。ゆるして…ッ…。ゆるしてください……ッ……。ごめんなさいッ……。ごめんなさい…ッ。」


何回も、何十回も、何百回も謝った。


許して貰えない、その事実がまた蘇る。


あの声が、否定が、侮蔑が、罵詈雑言が、暴力が、痛みが、耳と頭と感覚に蘇る。


産まれただけで罪。生きてるだけで罪。なのに、死ぬことも許されない。


ならどうしろと?どうすれば良い?


なにをすればいい?


そんなの冬花には分からない。考えても分からない。


なのに、誰も教えてくれない。


その夜は、眠ることができなかった。


ずっと、どうすれば良いかを考え、苦しんでいた。



❄┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❄



それから、魔女と勇者と賢者が旧支配者を封印し、世界は目まぐるしく変わった。


混沌と狂気に支配される時代は終わったのだ。


冬花はずっと分からなかった。


これからどうすれば良いのか。


何をすれば良いのか。


そんな時、勇者と話す機会があった。


『冬花、これからのこと……は、まだ決まっていないみたいだね。』


「…はい。…どうすれば良いか…何をすれば良いか……分からなくて…。」


『……そっか。…冬花はさ、本当の自分ってどう思ってる?』


その言葉に、心臓を直接触られたような冷たさが冬花を襲った。


本当の自分。出していない自分。気づかれていた?いつから?


無意識に呼吸が激しくなる。言い訳……いや、通じるのか?許される?怒られる?


パニックに陥りそうな時に、その言葉は聞こえた。


『冬花、落ち着いて。俺は責める気はないんだ。ただ…。ひとりだけ。ひとりだけで良いんだ。冬花が本当の自分を出せる人、そんな人が冬花にできてほしい。』


そんなの無理だ。だって、本当の自分は冷たい。


仲間の死も、民の死も、何も思わないような薄情な奴なのだ。


そんな性格、出しても嫌われるに決まっている。


『みんな、自分のことでいっぱいいっぱいなんだ。冬花がそうなのは、可笑しいことじゃない。だけど…。誰にも本音を言えないのは…辛いし、苦しいだろう?だから…これからは、好きに生きるんだ。好きに生きて、幸せになってくれ。』


それが、君を育てた勇者からの言葉だよ。


そう言って、勇者は去っていった。


好きに生きる。


冬花にとって、それが何なのかは分からない。


冬花は自分が生きていれば良い。


人を助けてきたのも、誰かに否定されたくないから。


正義だとか大義だとか希望だとか、そんなの冬花はどうでも良い。


それでも良いのか?


分からない。


今はまだ、分からない。


なら、分かるまで生きれば良い。


だが、冬花は勇者に言われた幸せが分からなかった。


だって、自分は幸せになってはいけないから。


幸せになって良い資格は無いから。


冬花は、生きてさえいれば良いから。


それ以上は望めない。


望んではいけない。


そう思いながら生きるしかなかった。



❄┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❄


氷はまだ、溶けていない。
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/6 16:44 (No.94043)削除
火鳥 蓮花の家の一室
もう誰も使ってない空き部屋。
かつて兄が使っていた部屋。
蓮花も知らない秘密の隠し場所。
部屋の隅の壁の中にひっそりと置かれた、埃を被った日記帳が数冊置いてあった。

【1日目】
さて…今日から日記をつけようと思う。
まぁ特に理由はないかな?遺言代わりみたいな?…騎士団に入ったし…いつ死んでも大丈夫なようにみたいなね。
まぁ普通に日記だし気楽にいこー!
さて何を書こうかなぁ…とりあえず妹の事でも書くか。
蓮花って言うんだけど凄く可愛いんだよ。今は8歳だったかな?ちっちゃくてねぇ…師匠や兄弟子とか俺のまねして魔法とか剣とかしたりして可愛いのなんのって!
俺の大切な妹…家で待ってるから帰ってあげないとね…あー仕事行きたくねぇ…ずっと蓮花と一緒にいたいよぉ…

【3日目】
家に帰ると綺麗に掃除をしてあった。
机の上に焦げた卵焼きや不格好なトーストが置いてありキッチンは酷い有様だ。
泣きながら「お兄ちゃん…ごめんなさい……」と言う妹……かわいすぎね?
俺のためにしてくれたんだよね?
怒れるはずなく思い切り抱きしめた。
絶対に守ってやる。結婚なんてしなくていいから俺と一緒にいない??
だからどうかこのまま…幸せに育ってくれ。危ない道を進まないでくれ。

【4年目】
まって蓮花が「兄さん」って呼ぶんだけど。
この前まで「お兄ちゃん」だったよね?なんで?待って無理無理「お兄ちゃん」って呼んでよ!!
悲しいぞ?ずっと小さくていいんだけど?やめて悲しいお兄ちゃん泣く泣いた……
これが親の気持ちなのかなぁ…いつか蓮花も彼氏とか連れてきて…この人と結婚するとか言うのかなぁ…そんなの許しません。
蓮花の幸せが第1だけどちゃんとした人じゃないと許しません!
とりあえず……俺より強いが第1条件だよな。弱いやつにはこんな可愛い妹を任せられるわけないだろう!
あっそういえば今日、副団長になったんだ。
なんでだろうなぁ…まぁ精一杯頑張るよ。
この役目を果たしてやる。
それで蓮花のことを守れるなら…俺はなんだって受け入れてやるさ。

【7年目○日目】
なんと驚いた。蓮花が騎士団に入ってきた。
この前まで「お兄ちゃん!」って後ろからトテトテと着いてきていたのになぁ……
入るなら師匠と同じところに入れば良かったのに……いやそれもだめか…この子には普通に幸せに生きて欲しいからさ。
あーーなんでこうなるかなぁ!

【7年目‪✕‬日目】
今日もBARに行ったんだけどナンパ失敗ぃ……なんで振られるんだ?眼帯か?眼帯のせいか?顔はいいほうだと思うんだけどなぁ
迷惑かけるなと店員に咎められるし…最悪だぁ…
つい飲みすぎて潰れてしまった…妹に迎えにきて貰うなんてみっともないなぁ…
本当に大きくなったな…
…本当に…騎士なんてやめてくれたらいいのに
こんな世界知らないで普通に生きて欲しいよ。

【7年目△日目】
なんか蓮花がめっちゃ危ない任務しようとしてるんだが…だめだめ絶対だめ許さない。
俺が許しません!なので俺が引き受けることにします!
ごめんな…こんな兄ちゃんを許してくれ。
蓮花には…怪我も殺しも何もかもしないで明るいところで生きて欲しいんだ。

【任務前日】
あーーー…明日かぁ…なんか嫌な予感するね。
死んじゃう気がする。やだなぁ死にたくない怖い…けどやらないといけないよね…だって俺は副団長だし兄ちゃんだし?
蓮花のために戦うよ。蓮花の未来を守るために。
だからさ…俺がもし死んでも蓮花のせいじゃないから。
少し気づいてたんだよ…蓮花の気持ち。
自分が弱いって出来損ないって思ってるでしょ?そんな事ない…蓮花は強いよ。とても強い。
魔法も上手に扱えるし飲み込みが早いじゃないか。
剣の腕も日に日に上達していつか追い抜かされるんじゃ?兄としての威厳がっ!!!って焦ってるんだぜ?
……だから自信を持ってくれ…大丈夫、蓮花は強い。
強くて優しい大切な大好きな妹なんだから。
きっと師匠も兄弟子も蓮花のこと認めているよ…だからそんなこと考えなくていいんだよ。
きっと…俺は死ぬ。でも…それで蓮花の命を守れたならそれでいい。それし蓮花のせいじゃない。安心して。
蓮花…愛しの妹。俺の宝物。
どうか幸せに生きてくれ。
いつか君に愛する人が愛してくれる人が出来たら…その幸せを手放さないでつかみ続けて幸せに生きて。
愛されていいんだよ愛していいんだよ。
幸せになっていいんだよ。
俺はね?蓮花が笑って愛する人や大切な人と一緒に過ごして…暮らせていればそれだけで幸せだから。
どうか君の未来が…明るく照らされますように。

【任務当日】
…時間少ないし簡単にね…蓮花がこの日記を見つけるか知らないけど最後に綴っておこう

世界の誰よりも愛してる。誰よりも大切な妹。どうか笑って幸せにいきて、君にはちゃんとその幸せを掴む権利を持っているから。誰が否定しても俺は肯定してあげる。

大好きだよ蓮花。


これ以降何も書かれていない…この日記で最後となっている。
もう二度と書かれない日記帳…誰にも知られない見つけられない日記帳。
彼女も知らない…大切な言葉が綴られたもの。
いつか…誰かが見つけるのだろうか?
それは誰にも分からない。
グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/13 18:56削除
可愛い可愛い愛しの子。
私達の宝物。
目に入れても痛くないほどに可愛い女の子。
赤いお目目が綺麗でぷっくりとしたほっぺが可愛い子。
背中に少し生えた羽毛がふわふわとした可愛い子。
綺麗なオレンジと赤の羽を持つ私達の宝物。

ねぇ…今は一体どこにいるの?何をしているの?





21年前の4月6日のこと。
僕の〝両親〟が赤子を連れて帰ってきた。
1歳にも満たない赤ん坊を。
赤い瞳と黒の髪の毛とぷっくりとした可愛い頬の女の子。
朱雀の女の子。僕と同じ種族の女の子。
僕と同じ理由でさらわれた可哀想な女の子。

朱雀として生まれ。
朱雀に生まれたから僕はさらわれた〝両親〟に。
そうしてこの子もまたそうだった。

「名前は…?」と聞いても知らないという。
そうだねこの人達はそういう人だ。

可哀想な子…きっとこの子も…と興味なさげに顔を覗いて見た。
そしたら僕の顔を見て向日葵のように笑った。
小さな手を僕に伸ばして「あー…うぅ…きゃあ…!」と可愛らしい声を出す。
…一瞬で心を奪われた。
そうして誓った。この子は必ず僕が守る…〝両親〟からもなにもかもから。
誰にも渡さない。大切な僕の〝妹〟。
幸せに生きて欲しいから…大丈夫、お兄ちゃんがついてるからね。
「そうだ名前がいるよね…お兄ちゃんが付けてあげるよ。…そうだなぁ…」
と考えていたら思い出した…とても綺麗な花のことを。
君のその瞳にピッタリは花の名前。
そうだこれにしようか。

「君の名前は蓮花…蓮花だよ。僕の大事な〝妹〟。守ってあげるからね。」

そうしてそっと抱きしめた。
小さくてすぐにでも死んでしまいそうなその命がこぼれ落ちてしまわぬように。

〝両親〟は僕が10を超えたら売るつもりらしい…朱雀は珍しく神聖なものだから高く売れると言っていた。
この子もきっとそうなる…だからそうなる前に逃げないと。
今は7歳…あと3年…できる限りのことをしよう。
この子を守るために。

初めて話した言葉は「にー…に……にぃに…!」だった。
とても嬉しかった。宝物だった。
可愛くて綺麗で穢れのない素敵な子。
〝両親〟は商品としてしか見てないから興味がなくて世話なんて最小限しかしないから僕が沢山遊んであげた。
その度に向日葵のように笑うから…僕も自然に笑顔になった。

日に日に成長していくこの子を見るのが楽しかった。
この子が初めて座った時も立った時も歩いた時もぜんぶぜんぶが嬉しくて仕方がなかった。
かけがえのないもの…宝物…僕の〝妹〟。
この子を守る為にも日々強くなろうとした。
こっそりつくった剣を奮って、全てから守るために。
この子の未来が明るいものでいさせられるように。

だから少しづつ準備をした逃げ出すために。
僕が10歳になったら売られてしまうから…そうしたらこの子を守れないから。

3年後の4月6日。
この子の誕生日…いや本当の誕生日は実は知らないんだ。
だけどこの子の誕生を祝いたいから初めて出会ったこの日を誕生日にすることにしたんだ。
こっそりと町に遊びに行った。
トテトテと小さい足を動かしながら手を繋いで歩いてあげた。
可愛いねとても可愛いね。
「にーに!どこいくの?」ってワクワクしている様子で話しかけてくる。
そっと頭を撫でて。
「蓮花が喜ぶところだよ。」と笑ってあげた。
そうして…綺麗なお花畑を見せてあげた。
そしたらこの子はとても嬉しそうにして
「にぃに!おはないっぱい!きれー!」とはしゃいで駆け回っていたね。
あぁ良かった…喜んで貰えて本当に良かった。
「蓮花、ちょっとこっちにおいで。」
と手招きをして呼んだ。そしたらトテトテと走ってきてぎゅーと抱きついてくれたんだ。よしよしと頭を撫でてあげて抱きしめてあげた。
「にぃにから蓮花にプレゼントがあるんだ。お誕生日プレゼント。」
そうして差し出したのは可愛いうさぎのぬいぐるみ。この子の両手に抱えられるくらいの小さなぬいぐるみ。
そしたらね「うしゃぎしゃ!かわいいねぇ!」ってとても喜んでくれたんだ。
あぁ…このままその笑顔のまま…ずっとずっと幸せに生きて欲しいなとそう思った。

「帰ろっか。ママとパパが待ってるから。」
と…本当は帰りたくない。〝両親〟のもとに返したくない。
だからゆっくりとゆっくりと時間をかけて家に帰った。
家に着いた頃にはもう日が落ちかけていた…けど違和感があった。
「蓮花…ここで待ってて。兎さんと遊んでてくれる?」
と頭を撫でながらいえば。
「にぃに!れんかいい子だから守れるよ!」とにかっと笑う。
いい子いい子…そうして僕はそっと家の中に入った。

もぬけの殻だった。
いや違う悲惨な状況だった。
血に濡れた家…散乱した肉の破片。
どこからどう見ても人の仕業でない悪魔それか呪いの仕業だった。
普通なら絶望や吐き気などするのにそんなもの感じなかった。
だって…〝両親〟がいなくなったから。
僕は急いで金目のものをカバンに詰め込み、食べれそうなご飯を持ち…壁にかけられた剣を手に取った。

「にぃに?どーしたのー?」と家から戻ってきた僕を見て不思議そうにする妹。
その頭を撫でて「大丈夫…ちょっとにぃにと遊びに行こっか!」と言って妹を抱えて旅だった。

もう恐るものなんて何もない。
だって〝両親〟が死んだから。
だからこれからはずっと一緒…君のことを守ってあげるから。

〝両親〟が死んでから2年。
蓮花は5歳、俺は12歳になった。
蓮花はいい子に育ったよ。
俺が剣を持つのをみて真似をしたいのか枝をブンブンとしていたからナイフで蓮花の為の木の剣を作ってあげた。
そしたらとても喜んでくれたんだ。
その笑顔だけで嬉しかった。
このまま騎士になったりして…なんて思うけどそんなことはさせないよ。
このまま育って幸せに普通に女の子として生きて欲しいから。
健やかに育って…大きくなったらいつか家庭を持つのかな?
きっとこの子は素敵なお嫁さんにお母さんになれる。
そしたら俺は叔父さんになるのか…甘やかしそうだなぁ…。
そうなったら何だか悲しいし下手な男なんて許さないけど…普通の女の子としての幸せを掴んで欲しい…そう思うんだ。
だってそれが一番の俺の願いだから。
幸せに笑って不自由なく暮らして欲しいから。

そんなある日のことだった。
悪魔に襲われた、蓮花を抱えて必死に逃げた。
逃げて逃げて逃げて…追いつかれて蓮花を襲われそうになって庇って片目を失った。
痛い痛い痛い……けど死んではダメだ。
けど逃げられない。
「…にいちゃ?…お兄ちゃん…」と泣きじゃくりながら俺の心配をする妹。
剣を持って立ち向かうしかなかった。
俺しかこの子を守れない…けどこのまま俺が死んだらどうなるんだ?
だって俺はまだ悪魔を倒せるほど強くないのに…
死にたくない生きたい…嫌だ助けて…
そんなことをぐるぐると考えていたときだった。

目の前の景色が変わった。
気づいた時には悪魔はもういなかった…居たのは…美しい銀髪の髪をもつ小さな女の子だった。

これが俺達と師匠の出会い…これから先の未来の始まりの合図だった。
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