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みくろんさん (91h7vmwr)2024/2/21 15:03 (No.95938)削除
【虚空聖典_ヴェーダ】

『理解の境地_“医師”』
脅威値数:S 状態:生存



『虚無からの誘惑_“傀儡師”』
脅威値数:A 状態:生存



『甘い戯言_“詐欺師”』
脅威値数:B+ 状態:生存



『不幸の母_“奇術師”』
脅威値数:A 状態:生存



『舞い降りる幸福_“道化師”』
脅威値数:B+ 状態:生存



『怪魔王_“魔術師”』
脅威値数:S 状態:生存



『逃れられない現実_“占術師”』
脅威値数:B 状態:生存



『必要不義_“罪人”』
脅威値数:B- 状態:生存



『在るべき殺戮_“処刑人”』
脅威値数:A 状態:生存



『安定した未来_“管理人”』
脅威値数:A 状態:生存



『狂戦覇王_“終戦者”』
脅威値数:A+ 状態:生存

 



























 



































『止まらない希望_“否定者”』
脅威値数:S+ 状態:死亡















『情報の悪魔_“便利屋”』
脅威値数:SS 状態:生存































『絶対的な遊戯_“黒神”』
脅威値数:測定不可能 状態:観測未定




















           (fin)
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/21 00:09 (No.95906)削除
空に浮かぶ満点の星空

スラムで見た

初めて見た

綺麗なキラキラしたもの

届かぬそれに

幼き小さな一つの星が

そっと手を伸ばしていた





生まれなど知らない
知ったところで意味は無いだろう

何処かのスラムで育った
名もない幼い女の子がいた

薄汚れた茶色の毛
怪我をし、傷跡が残る肌
服ともいえぬ布切れ

スラムでは当たり前の光景

ただ一つ違うのは

この幼子は星が浮かぶ夜空のような青い瞳を持っていた

「キラキラ…綺麗…」

と届かぬ星空を見て
幼子は呟いた

あの時に あの日に
生まれて初めて見た星空に
魅せられた幼子は
それ以来、ずっと星に憧れ続けた

生きることに必死だった
食べれるものならなんでも食べた
殺されるならそうなる前に殺していた
そんな汚い汚れた手のひらで
掴めるはずない綺麗な星
それでも幼子は憧れた

幼子が5歳の頃だろうか
名も知らぬ男に無理やり襲われ
花を散らし身を怪我された

吐き気がするほどの痛みと恐怖が今でも脳裏にこびりついている

好きな人に捧げることも適わぬ穢れた身
一生を添い遂げる相手に愛されるはずだった一つ星

知っているかい?
狼は死ぬまで1人と添い遂げる
そうして
狼の牙のお守りには“貞操を守る”という意味があることを

もうそれは適わぬ夢となってしまった

黒く滲んでいくような気がした

それでも生きなきゃだめだから生き続けた
いつか星を掴みたいという願いがあったから
スラムに浮かぶ星空が幼子を見ていたから

8歳の頃にまた襲われた
世の中が怖くなった
もう何も残らぬ汚れた身をどうにもできなかった
死にたい生きたい消えたい
どうにもならない思いの中で
孤児院に拾われた

「君は名前は?」

と聞かれたが名前など無く戸惑ってしまった

「なら好きな物はあるかい?」

と聞かれ、答えたのは

「…星…星が好き…キラキラして…綺麗…」

という何とも幼稚な言葉だった

そうして名をつけられた

“ステラ”という星を意味する名を

星に憧れた幼子は
星の名を手に入れた
汚いその身には似合わない名
だが星空の浮かぶ空のような瞳にはピッタリの名

ステラは孤児院で育っていった
スラムでのトラウマが簡単に癒えることは無いが笑うようになっていった
少しづつ少女の星が輝き始めているような気がした

14歳の頃
少女は可愛らしい女の子へと成長していた

可愛い茶色い毛
傷はあるけど健康的な白い肌
綺麗な白の長袖のワンピース

町で見かけられる普通の光景だった

けれど…

あっという間に壊された

「ねぇ…少し道に迷ったから教えてくれない?」

紫の瞳をもつ黒髪の同い年くらいに男性に声をかけられた

すこし怖かった
過去のせいで男の人が怖かったから
けど孤児院にいたあの双子の弟お兄ちゃんとかそれ以外の子達は優しかった
だから

「うっうん…いいですよ。」

少女は了承してしまった


そのあと?わざわざ説明する必要あるだろうか


孤児院に帰ってきた少女は
目に光をなくし
ボロボロになって
嗚咽で吐きそうになりながら
自室にこもりきってしまったよ

それから3年間、外に出ることはなかった

怖かったから

何も信じれないから

けど…またあの星を見たかった

星に触れたかった

だから…17歳のときに魔法研究会に入ることにした

はじめの一歩として


けどそんなことしても彼女が変わることがなかったのだけど

今もずっと

怯えている

あの記憶が脳裏にこびりつき離れない
毎晩毎晩思い出して泣きそうになって苦しくなる









可哀想なステラ

誰もいない夜の空で1人で輝く一つ星

輝きを失いそうになりながら

少しのか細い光で輝くステラ

白く輝いていたのに穢れてしまったステラ

灰のような輝きが混じったステラ

誰にも見つけられないような

見つからないように光り続けるステラ

そのステラを見つけるのは

愛を与えるのは

誰になるかもいつになるかも

彼女はまだ知らない

今もずっと一人寂しく

夜の空でたった一人で

ステラはか細い光で輝き続けている
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/20 18:05 (No.95856)削除
「お姉ちゃん!」
そうやって後ろから走って抱きついてくる薄い金髪のショートヘアの女の子。
そうして、それを抱きしめ返す薄い金髪の三つ編みの女の子。

これは昔の話。

無垢で純粋な女の子であったころのお話。

消えてしまった“あの頃”の話。








とある町で可愛らしい赤ん坊がうまれた。
薄い金髪と赤い瞳が愛らしい子供。

それがロージー・インピュア、彼女が生まれたときだった。

すくすくと育った。
幸せに愛を与えられて育った。
15歳下の妹のアンジュもいた。
家族皆で笑って幸せに…暮らしていた。

ロージーはアンジュが大好きだった。
可愛いくて綺麗な天使みたいな大切な妹。

「アンジュ!今日は何をして遊ぼうか?」
「ならお姉ちゃんと一緒にねお散歩する!」

って姉妹仲良く毎日遊んでいた。
その様子を両親は微笑ましく見守っていた。

「アンジュ…私の大切な妹、大好きな天使。守ってあげるからね。」
とロージーはアンジュの頭を優しく撫でいた。
「えへへお姉ちゃんのおてて大好きだよ!暖かいね綺麗だね。」
とアンジュはそれに答えるように笑っていた。

とても幸せな日々だった。

けど長くは続かなかった。

ロージーが80歳でアンジュが65歳の頃だった。

とある家族が越してきた。
ハーフエルフの家族だった。
隣の家に住んでいたから自然と話すことが多くなった。
それに、そこの家の男の子はロージーと同い年だった。

それがカイン・エインエレ。

これがロージーの…いいや…この出会いがロージー達家族の幸せを人生が壊れていく始まりの合図だった。

「ねぇカイン。なにをしているの?」
とロージーとアンジュは仲良くしようと話をかけていた。
そしたらカインは優しい青年のような笑みを浮かべて
「お母さんにプレゼントしてあげようと思ってね。」
と笑った。勿論…作り笑いだけどね、まだ何も知らない無垢な少女たちは騙されてしまった。
その偽物の善人に。

ロージーとアンジュはカインと仲良くなった。
友達になった。
アンジュはよく
「カインお兄ちゃんとお姉ちゃんはお似合いだと思うよ?二人共優しくて大好きだもん!」
と言っていた。
そんなアンジュの頭を優しく撫でて
「アンジュは可愛いね。アンジュの方が優しいと私は思うよ?いい子いい子。」
と微笑みかけていた。

こんな幸せな日常がずっとずっと続くと思ってた。





ある日、アンジュが行方不明になった。
ロージーは朝から晩まで必死に探した、両親と一緒に探し続けた。

毎日、毎日、毎日

そうして…探し続けて5日が経ったころ、アンジュが見つかった。
変わりはえた姿で。


愛しい綺麗な可愛い子

大切な妹

純粋で無垢なる天使は

その白い羽を汚されて

何も発することがない

空っぽの器になっていた




泣いた

何度も何度も泣きわめいた。
苦しくて辛くて死にたくなった。
守れなかった。守りたかった。
大切な天使、ロージーの妹。
ロージーの天使。
もうそんなものはこの世にはいない。

そんなロージーに声をかける者がいた。
優しい偽物の善人が。
破滅へと導く尖り耳の彼が。

「大丈夫。俺がついてるよ。」

その手を…ロージーは取ってしまった。
酷く汚れた悪魔の手を。
カインの手のひらを。

最初は幸せだった。
ロージーはカインと恋人になった。
周りは祝福してくれた。
きっと…アンジュも…と思っていた。
だってアンジュはいっていたから。

「お姉さんとカインお兄ちゃんはお似合いだよ!」

って

ロージーは夢を持っていた。
「綺麗な庭のついた家で、好きな人と幸せに暮らすの。カイン素敵だと思わない?」

それに対してカインは何も言わずに微笑み返すだけだった。


そんなある日のこと

破滅へと導かれる日のこと

ロージーは町を歩いていた

けど夜になりかけており日は沈みかけていた。

そんな時にカインを見かけた

ほかの女といる所を

目を疑った、気のせいだと、そうして詰め寄った

そしたらカインは
「なに?まじで付き合ッてるとか思ッてんのかテメェキモ。ンなわけねェだろうが。」
と吐き捨てられた。

訳が分からなくて

どうしたらいいか分からなくて

それに追い討ちかけるように、カインに寄り添う女が
「なぁに?この子が今のキープしてる子?前はこの子だったっけ?あっこの子もいたよね?」
とくすくすと笑っていた。

目の前が真っ暗になりそうだった。

この場から離れたくて辛くて…ロージーは走り去った。

それがいけなかった。

傷心して何も考えられないロージーに悲劇が襲った。

外はもう暗闇で周りに誰もいなかった。

口を塞がれた

服を破かれた

殴られた

蹴られた

気持ち悪いものが無理やり中へと入れられる

何かが壊れて消えていく音がする

なのに何故かそれが埋められる音がする

フラフラとした足取りで帰路についた

そこでカインに見つかった
ニヤリと笑う下卑た笑み

「ロージー?まさかヤられたか?マジかよww…まァいいか。なァオレにも付き合えよ。」

拒否権なんてない

抵抗する気力もない

愛も何も無い乱暴な行為

また何かが消える音がした

「アンジュよりもいい体してんなァ?アイツは泣くから面倒いオンナだったナ。」

とぼそりという

なんでここでアンジュが出てくるのかと考えた

そうしてロージーは理解してしまった

天使を汚したのはこの男だと

「早く家に帰ッてやれよ。面白いもんが見えるぜ?」

と気味の悪い笑みで話しかけてきた

嫌な予感がした

急いで帰った

「お母さん!お父さん!」

もぬけの殻…いや違う

飛散した肉の破片

息をしない

ふたつの肉の塊

愛した家族のカケラ

「イヤァ…面白かッたぜ?」

とカインは笑っていた

…ロージーはもう何も感じれない

感じることが出来なかった

無垢なる純粋な少女は壊れきった

“ロージー”なんてもういない

愛を信じたのが馬鹿だった

愛なんて存在しない

気持ちの悪い代物だ

町から離れ旅をしていれば、声をかけられる

その度に抱いて抱かれてを繰り返す

一時の偽物の愛を繰り返す

それで良かった

それで埋められるものなんてないのに

誤魔化して誤魔化して

“遊び人のロージー”で生き続けた

それでいた方が生きやすいし
楽しいし
それにそれに
クソみたいな屑みたいな人生を歩んでる
泥にまみれた人生を歩んでるロージーにはピッタリなのだと思ったのだ

ロージーは今日も夜の街をあるく
一時の偽物の愛で空いた穴を埋めるように

「あ〜暇ァ...なんか丁度いい食べ頃の男いないかなぁ?」

とヒールをカツカツと鳴らしながら歩く

予定をドタキャンされて苛立っていた

その先で見かけた丁度よさそうな男を見かけた

別に誰でもいいし、この人にしようと

「ねぇ?お兄さーん?アタシと遊ばね?」
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柚子カレーさん (8zml5wu2)2024/2/12 23:54 (No.94969)削除
ねえドロシア。僕たちの夢見る「ドロッセルバルト」(御伽の王様)。どれほど願ったって、君にガラスの棺は与えられないよ。
ねえフリート。僕たちの大切な「オトフリート」(名宝の番人)。どれほど懇願したって、君の宝箱はもう空っぽだよ。
ねえユビィ。僕たちの割れんばかりの「ユーベル」(歓声、喝采)。どれほど叫んでみたって、君の演目は終わったよ。
ねえライラ。僕たちの輝かしき「ライマール」(騎士であり歌手)。どれほど呪ってみたって、君の声を奪う魔女はいないよ。

ねえ、僕たちの──

………最悪の夢見だった。本棚に、捨てることも出来ずに残された、絵本の表紙。それが私を睨んでいる。隣の部屋からは、お姫様たちの楽しげな声。いつもは聞くだけでも楽しいそれが、今はどうしてか耳障り。

ねえ、僕たちの愛しい愛しいお姫様、ドロッセルバルト・オトフリート・ユーベル・ライマール。
かつて幸せなお姫様だった子。
王子様、迎えに来た?
そもそも男って、王子様になるような綺麗な生き物だった?

次の瞬間、ドロシアの足がティーセットを薙ぎ払う。テーブルを引き倒す、カーテンを引き裂く。隣の部屋の子供の声は、静かになっていた。

「…………俺は、お姫様じゃないよ」

愛を謳って、恋を謳って、夢を見て。
何一つ叶わないと知ってしまったその少女は。

「王子様でもないけどさ」

夢の形をした化け物に、己自身が成り果てることを、選んでしまった。夢の形で近づいて。少女の夢を食らう悪魔に成り果てた。

嗚呼ドロシア!ドロッセルバルト!僕たちの夢見る王子様!
上手から下手へ流れてしまえば、もうゼロには戻れないよ!
サスが照らす真ん中。ゼロから奈落へ落ちた僕らの王子様!
一人で落ちるのは寂しいだろ?大丈夫、僕らもここにいる!
みんなで心中しようぜドロシア。それなら寂しくないだろ!

「あぁ、僕たちのアントニー・グレゴール。傍観者の侯(きみ)」

奈落で足掻く私を見ていて楽しいか?
セリに裂かれた胴は、美しかったか?
私達は緞帳の向こうでしか踊れない?
銀橋も歩けない私が君に見えてるか?
大階段から滑り落ちた私は滑稽だろ?
花も背負えず踊る私はそこにいるか?
ロケット落ちした私を笑ってんだろ?

「なぁ、グリム、私の運命の三女神」

いつか、もう一度。
サスの下で踊りたい、それだけなんだよ。

「私はお前たちを、いつか引きずり下ろしてやるからな」

汚い男も、醜い女も存在しない。夢と希望で彩られたその舞台を。私はまだ、夢見ている。ただ、それだけのこと。
柚子カレーさん (8zml5wu2)2024/2/19 23:55削除
「ごめんね、ごめんねドロシー。僕たちのドロッセルバルト(王様)」
「大丈夫だよドロッセル、大丈夫、僕たちが守るからね」

枷をつけられた子供たちが、部屋に並ぶ。その枷は、鎖すらなく床に設置されているものだから、立ち上がることも出来ず、無造作に四肢を床に放り出して、子供たちは転がっている。けれど、四肢の揃った子供は居ない。
その中心に据えられているのは、ひとつの玉座。金の装飾に、赤い天鵞絨の座面。そこに固定されているのは、一匹の蜘蛛。足を全ておられ、動くことも、立ち上がることも出来ないまま、標本のように、数本の細長い釘で保定されている。

「ごめんね、わたし、わたしがちゃんとしなかったから」

子供たちは、蜘蛛に謝り続け。蜘蛛は、子供たちに謝り続ける。悪趣味な人間の目と耳を楽しませるためだけの部屋。

ドアノブの捻られる音に、子供たちの肩が跳ねる。蜘蛛は、酷く脅えた顔でドアを見る。
蜘蛛を含めて25人いた子供たちはいまや10と少しだけ。五体満足なものなど、どこにもいない。
入ってきた男は、一人の少女に目をつけ。その枷を床から外す。

「アイーダ!やめて!手を離して!いやいやっ!!」

必死に手を伸ばす蜘蛛。グラグラと体がゆれ、保定釘が傷をえぐる。じわ、と天鵞絨に広がっていく、赤い色。よく見れば、天鵞絨の赤は、流れ続ける彼女の血だ。ガタガタ揺れるその椅子の足を伝って、血が床に広がる。

アイーダと呼ばれた少女は、同じ部屋の中にある、テーブルに固定される。男が取り出した斧に、床の少女たちはサッと目をそらす。だが、蜘蛛はそらさない。否、それを許されていない。目を閉じても構わないけど、その時は2人食べるよ。残酷な宣告。それが蜘蛛を縛る。

ごちゅん、という音がして、斧が振り下ろされる。子供の悲鳴が、部屋の中に響く。骨によって止められてしまった斧を、男がもう一度振り上げる。

「やめてっ!やめてよぉ!!!」

蜘蛛の叫びなど意にも介さず。ごつ、ごちゅ、ぐち、ぶち。ばきっ。
一度で綺麗に断たれなかったその断面は、荒れに荒れ、見るも無惨。アイーダは、痛い、とも、苦しい、とも言わず。

「ごめっ……ごめんね。ライラ。だいじょぶ、だいじょぶだからっ。ね、ライマール(僕たちの、歌姫)。そんなかお、しないで」

そんなに叫ぶと、喉が潰れちゃうよ。にこり、と、蜘蛛に笑顔を作ってみせる。ライマール、なんて。その時初めて呼ばれた名前だけれど。蜘蛛にはそれが己を指す言葉だと、理解出来た。生まれて、名前もない自分に、彼女たちは名前をくれた。ドロッセルバルト。御伽の王様。僕たちの王様。けれど守れなかった。蜘蛛は悪い狐に騙されて、今や俎上の鯉。踊るための足は全ておられ、彼女たちを見届けるだけの、はだかの王様。
だから、ライマール、なんて。蜘蛛には背負えない。騎士にして歌手。護れもしない、騎士。蜘蛛は、嫌だ嫌だと喚いて、必死に手を伸ばす。とうとう、玉座が倒れる。保定釘が、蜘蛛の傷をさらに広げていく。これだけの無様を晒す蜘蛛を、それでも彼女たちは、否定しない。
ねえ僕たちのドロッセルバルト。私たちの夢見る王様。君の言う、歌劇団はね。本当に楽しかったんだよ。

切り落とされた腕が、男の口元へと運ばれて。ぐに、ぶち、べちゅ。嫌な音を立てながら、食べられていく。火も通していないその肉を、口の周りを汚しながら、楽しそうに食べる男に、蜘蛛の口も歪んでいく。

「ころすっ!!ころしてやるっ!!!ぜったいにころすっ!!!!!」

誰かの悪意や負の感情から生まれるのが悪魔なら。彼女達のそれからは、何が生まれるのか。
男は、楽しそうに子供を食らう。あぁ、本当にいい買い物をした、と、満足気に笑いながら。

まだまだ子供は十数人残っている。地獄は、まだ終わらない。
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/19 22:44 (No.95782)削除
どうして私が生きているのだろうか

兄が死んだ

私の代わりに死んだ

私のせいで死んだ

何もかも私のせいだ

出来損ないで弱くて惨めな私のせい

なのになんで…

「私がこの座を貰わなければならない…」

身に余る相応しくない肩書き

兄の肩書き

兄の席なのに

「私は兄さんのように強くないのに…」

兄のようになれるだろうか?

いやならないといけない

兄のように

兄にならないといけないから

「…弱い私は…いらない…なら…何をすればいい?」

兄になるためには

弱い自分を捨てるには何をすればいいだろう

弱さなんて消えないのに消えたように思いたかった

テーブルの上に置かれたナイフ

それをそっと手に取った

「そうか…なくせば…兄さんに近づけるだろうか?…兄さんになれるだろうか?…」

そうして腹を貫いた

血がぽたりと出てきて止まらない

痛みが苦しくて泣きたくなるけど

どうでもいい

「兄さんにはこれは無いだろ?…なら私には必要ない…“弱い女”には必要ない。」

ぐちゃりと嫌な音がする

嗚咽が聞こえて消えていく

“女”が取り出され落ちていく

グズグズとした“女の塊”がボトリと落ちて崩れていく

焼ける肉の臭いがする

針を通す音がする

涙が枯れる音がする

「兄さん…少しでも貴方になれただろうか?」

そこにはもう“女の抜け殻”しかいなかった

“弱い女”は消え去って“火鳥 蓮花”は死んだ

そうして“火鳥 蓮花”として生まれ落ちた

女にも男にもなれぬ

ただ肉塊の器として
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緑茶さん (8z88g5i0)2024/2/19 22:25 (No.95775)削除
【Εάν οι γονείς είναι γονείς, τα παιδιά είναι επίσης παιδιά.】



怖い


怖い


怖い


ボクはここにいても良い?


怒られない?


あれとの子供は?


できてない?













ほんとうに?













血が溢れる。


視界が真っ赤に染まる。


お腹が痛い。手も真っ赤。


お腹に赤ちゃんがいるなら、いたら、殺せばいい。


悪くない、ボクは悪くない。


悪くない…。


『アンタのせいでアタシの人生はめちゃくちゃになったのよ!?』


『アンタなんて産まなければ良かった!!!』


『産まなければあの人に愛して貰えたままだったのに!!!』


『ねぇ、なんで生きてるの?!』


『なんで産まれてきたの?!』


『なんでアタシを選んだの?!』


『アンタなんて死んじゃえば良いのに!!!!!』


ボクのせい…


『死んだよ。お前のせいでな。』


『モネはこいつのせいで死んだも同然だろ!!!』


ボクのせい


ボクのせいでお母様は死んだ


モネも死んだ


ボクのせいでみんないなくなるの?


ボクが悪い子だから?


人殺しだから?


ひとごろし


赤ちゃんを殺すことは許されるの?


ボクが悪くても、許される?


許されない


誰も許してくれない


あの子も、ボクのことを嫌っちゃう


好きなのに


あの子のことが好きなのに


いやだ


嫌われたくない


嫌いにならないで


「きらいにッ…。きらいに…ッならないで……ッ…。やだよ…。いやだよ…ッ…。ボクには…ボクにはきみしかいないのに…ッ。」


痛い。


苦しい。


治したい。けど、治すのも怖い。


あの時、モネを治せなかったボクが、治して良いはずがない。


裂いた腹に、幻の命が見える。


いらない。


いらないから。


来ないで。


産まれないで。


いらない。


ボクはきみなんていらないから。


あの子だけがいればいいから。


あの子だけでいいから。


何回も、何回もお腹を裂く、刺す。


髪も、肌も、白いものが全て紅く染まる。


いらない。


いらないから。


赤ちゃんなんていらないから。


やだよ。


やめてよ。


なんでボクなの。


なんでボクを選んだの。


ボクは選んでないのに。


ベッドのシーツも、何もかもが血で染まった。


《清廉潔白は、穢れてしまった》


《もう戻ることは無い》


痛いけど、苦しいけど、辛いけど


もうどうでもいい


ボクはあの子のためになにもできなかった


あの子のためのものも、なにもかもがだめだった


うばわれた


愛しているのに


あの子のことを心から愛しているのに


あの子だけが、ボクの__なのに


なんで


なんでボクは


《今更気づいた、眼前に広がる血》


血。


モネ


「ぁ、ぁぁあぁああぁぁぁッ……ッ……。」


嫌だ、違う、


ボクが、


ボクがあの時、


ボクのせいで、


モネが、


モネは、


ちがう、


ちがくない、


ボクはみんなみたいになれない


ボクは穢れてるから


「ごめんなさい。」


お願いだから、こんなボクでも愛して


《少女は痛みに苦しみながら泣き続けた》


《治すことも、痛みも、苦しみも、何もかもを忘れて。》














ねぇ、きみは穢れてるボクでも愛してくれる?


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さん (8zuyld7s)2024/2/19 21:45 (No.95765)削除
成績 B

関心意欲態度 A

運動 B

人間関係 B

協調性 B

リーダーシップ C

出席日数 88日
欠席日数 4日

備考 真面目な生徒。図書委員会所属。
将来の夢がないため探索中。

総合評価 B _以上。




__________
普通の子だった。
特に目立ったところもない。
特技もない。
長所も短所も特に言えない。

普通の女の子、ピンク・エスピーナ。

スポットライトなど当たらないただの悪魔ちゃん。


__________
小さい頃から聞き分けの良い子供だった

あまり泣かずに、

まるで親の言うことが分かっているような反応を見せたんだとか。

好き嫌いはないし、物欲はないし

唯一興味があるのは『おとぎ話』の本だけだった。

だけど、毎日幸せそうに笑っていたんだ。



__________
学生時代も変わらない、

黒い髪の毛は三つ編みにして

少し重たい前髪で出来るだけ目線が合わないように

それでも友達も居るし、ある程度社交性はあるし

まぁ大勢居るなかの1人ってだけ。

消してはみ出ず、個性を出さず。

秀でた才能もなくて…

今思えばなにが面白かったんだろ。


__________
そんな真面目ちゃんの憧れは

クラスの明るいあの女の子。

明るいブロンド色の髪に、お人形みたいな瑠璃の目

だれもが答えるの、そう 【お姫様】って。

けれど本人は謙遜しながら笑うのだ、上手に

いいな、イイな、どうして…

「__"」

この黒い感情はなんだろな。


__________
ピンクが終わった日、

『普通』で居るのが飽きちゃって

『普通』が分からなくて

『異常』に憧れた。

学生って息苦しくなって逃げ道を探すのが上手なんだ

少し噂を聞いて夜遊びへ…

そこで知っちゃった甘い罠に

ピンクは虜になっちゃった

『酒』…『性行為』…『薬』

全部全部覚えてしまった密の味。

解いた三つ編みの髪の毛は軽いカール

その場で切った前髪はバラバラ

それもまたピンクのチャームポイント

飢えを埋めた。普通から離れたくて。

だって『お姫様』のようにみんな求めてくれるから

ピンクはおとぎ話の主人公になれるのだ…



さよなら


『普通』のピンク。



そして、



はじめまして


『異常』のピンキー。




________
PINKY

性格.態度C

容姿A(個人差あり)

武器 B

能力 B…?

備考 エスポワール魔法団 団長と接触あり。
薬物依存者。異常な幸せ思考持ち。

総合評価 B _以上。
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ヘルさん (90xdn9d1)2024/2/18 20:44 (No.95648)削除
これはもう何年の話になるのだろうか、鬼を忌み嫌い鬼の家族を襲撃した出来事を。
現在その家はもうぐちゃぐちゃになっており
もう人が住めないであろう。そんな所に1人
男の足音がした。黒い長い髪の毛を簪2本で縫い上げ着物を揺らす。
彼はこの地に着き声を漏らす。「俺の愛娘は…、零落はどこにいる!」
彼の名は鬼灯、鬼灯艶歌(えんか)、鬼灯零落の父親だ。彼は自分の愛娘を探しているのだ。
今から5年前、この家の住んでいた彼ら「鬼灯家」は人間により殺された。
だが犠牲は母親と兄だけ、彼は女探しに行っていた。
朝方に酔っ払い帰ってきたら家はこんな状況になっていたのだ。母親と兄の遺体はこの場所にあるのに愛娘、零落はいない、彼は家を襲った者たちに愛娘の居場所を探しただが全員首を横に振るそれが癪に障り首を切った。途方に暮れていた頃ある物を思い出す。そう思えば。
「鬼灯丸」の小刀と妻が羽織っていた紅の上着がない、あの子が持っている。
あの子は生きておる!と希望を持った。
事件が起こり2年後、
「我が愛する娘はもう17歳になっている。飛んだ別嬪になっているのじゃろう」と1人新しい家の縁側で言う。そんな時に1人の足音がした。彼は身構えた。「鬼灯丸」の刀を持った。もしも人間だったら…。と思ったら人間では無い。
彼に似た黒い短いの髪の毛に真っ赤な赤い目そして我が妻が羽織っていた紅の上着。
我が愛する愛娘だ。思わず縁側から飛び出し通り過ぎようとする彼女の肩を掴んだ。
彼女はびっくりしているようだ。顔つきも愛娘だ。「零落!」と大声を出した
彼女はビクビクしながら「父様…?」とおずおず声を出す。
あぁ!我が愛娘だ!と思う。実に嬉しい事だ。
「5年前は居なくてすまなかったこれからは…」と言う時に彼女が遮って言った言葉が

「縁を…切りましょう…」

と言われた。

「何故だ?何故縁を切るのだ?」

と聞いたら母様や兄様を虐めてたからです…。と言われ、ぐつぐつと怒りが湧いてくる。

「もう…。関わらないでください」
と言い我が娘は去っていった。
















何故だ?何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!






何故縁を切る?意味がわからない。そうだ…。あの子も我が妻のように可愛がればいいのだ…
絶対に娘を連れて戻してやる!!彼はそう誓った。



今でも彼は三年間彼女を探している。彼はMAGに娘が入っている事を知らない。
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フィンさん (91ah0q9z)2024/2/16 21:45 (No.95371)削除
これはとある平和な朝のお話。
何の変哲もない、平和な日常のお話。悪魔や呪いなど関係ない。

アズサ「おに〜ちゃ〜ん 朝だよぅ〜 お〜き〜て〜」

今日は休日。2人とも指令が出ない日。
自由人なアークは今日も寝たいだけ寝る。一方でアズサは早起きし、アークを起こそうと今日も今日とで1人奮闘する

アズサ「もぉ〜 早く起きて〜」 

アーク「……」

アズサ「むぅ……」

早く兄と遊びたいアズサは全然起きないアークに不満なようだ。しびれをきらし、アークの上に乗っかり、ゆらゆらと動く。

アズサ「起きないならこうしちゃうよ!えーい!」

アーク「…?」

アズサ「? 今おにーちゃん起きた?」

アーク「…なんで俺はアズサにまたがられてんだ?」

アズサ「おにーちゃんが起きないからでしょっ!二度寝しちゃ駄目だよ?おはよー!」

互いの吐息を感じる程ピッタリとくっついき、アークの目を覗き込むアズサ。アズサの髪がアークにかかり、むず痒いようで…

アーク「分かったよ。起きる起きる。おはよう。そしてどいて。」

アズサ「あぁ、ごめん。重かった………?」

アーク「重くはないけど、髪がかかってきて痒い。」

アズサ「なるほど。」

アーク「てかちゃんと服着なよ。」

アズサ「どうせおにーちゃんしか居ないし大丈夫だよ〜。それに、おにーちゃんになら見られても恥ずかしくないもん」

 実はアズサも割と起きたばかり。下着とキャミだけの状態でアークにまたがるなんとも異質な光景だった。
 アークは流石に起きるか。と起き上がる。しかし、急に動いたため上に乗っていたアズサがバランスを崩し、押し倒す形に。そして…

アズサ「?!」

アーク「!」

……キス。事故った。お互いに驚き、アズサは急展開に耳まで赤くなる。でも大好きな兄とは言え自分からこんな事をする勇気がないため、事故としてだがこの折角の機会を逃すまいとその時間をしばらく愉しもうとする。

アズサ「んちゅ……ん…♡」

夢中になり、頬が高潮するアズサ。一方でアークは今の状況を理解できず、「?????」状態。ただアズサに唇を塞がれているため何も聞けない。

アーク「……。」

アズサ「ん…♡ ハッ!おにーちゃん、ごめん!急に起き上がるからびっくりしちゃって…そ
    の…えっと…」

頭が真っ白になり、必死に言い訳しようとするも言葉が出てこない。アークはそもそも状況を理解できていなかったため、特に何も思っていない。

アズサ「と、とりあえずっ!おにーちゃんももう起きてよね!」

アーク「起きてるよ〜」

 アズサに後押しされ、訳もわからず布団から出る。超薄着であるため少し寒いようで、アズサは布団から出たアークにもピタッとくっつく。洗面台で歯を磨くアークの寝癖を、後ろからアズサが自分のくしで直してあげ、ほぼ同タイミングで着替える。

アーク「お腹減った。朝飯作るか。」

アズサ「あたしも手伝う〜」

アーク「包丁で指切るなよ?」

アズサ「流石にもうしない!」

アズサよりもアークの方が料理は上手い。手先が器用だからだ。おおらかな性格をしているアズサは危なっかしく、よく包丁で指を切ってしまっていた。

アーク「今日は指切ってない?」

アズサ「いたぁぁぁい……」

アーク「もう切ってた…」

和気藹々とした空気が部屋を満たしていた。先程の事などなかったかの様に。実際、アークはもうすっかり忘れている。

 しばらくして、2人分の朝食が完成した。

アーク「いただきます。」 アズサ「いただきまぁす♪」

食器の音と共に2人の談笑の声が響いていた。
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/16 20:28 (No.95352)削除
とても綺麗な人だった

月明かりに照らされて白銀のごとくかがやく白髪

全てを見透かしたような透き通るような琥珀色の瞳

雪のように柔らかく傷一つない白い肌

一つ一つの動きが言葉が洗練された月から舞い降りた天女のような人

尊敬をしている大好きで愛してやまない人

それが僕の姉上、貴虎小菊...その人だった

姉上は僕と双子の姉の日葵と違った。
姉上は白虎として生まれたのだ。

白虎として生まれた姉は毎日のように稽古を重ね、一日たりとも休まる暇などなかった
僕が物心ついたときからそうだったかは...きっと姉上はずっとそうだったのだろう

姉上が稽古に勤しみ、剣を振るう姿は菊の花のように美しくて大好きだった
最初は純粋な好意だった...愛だった...憧れだった
それはいつしか恋心へと変化した
それでもまだ純粋に姉上を愛しそばにいたいと言う思いだけだった

姉上は優しかった
魔法を使えない僕と日葵の頭を撫でては魔法を見せてくれた
その魔法はとても綺麗で、姉上の心の純粋さを見ているみたいだった。

そんなある日のこと...僕と日葵が5歳で姉上が10歳の頃のことだった

夜中に目が覚めてお茶でも飲もうかと家を歩いていた時に〝パシン〟と鈍い音が聞こえた。
誰かが何かを叩く音だった。
気になってその方へと足を進めると...そこは稽古場。
姉上が毎日、父上と稽古をしている場所。
扉の隙間が開いていたから覗いてみると...そこには衝撃的な光景が広がっていた。

父上が姉上を叩いていた。
手を使うだけでなく竹刀でも。
会話は聞こえないけど...僕にはそんなこと関係なかった。
目に入ったのは姉上の顔。
反抗的に父上を睨むその琥珀色の淀みのない綺麗な瞳が一瞬淀み怯えていた。そうして潤んでいた。

…僕は壊れてしまった。いや違う...壊れてなんていない...気づいてしまったんだ。

「...なんて綺麗なんだ...姉上...」

姉上の怯えた目が涙を貯めるその瞳がとてつもなく綺麗であることに。
どんな表情よりも素敵であることに。

その日から忘れられなくなった。
この日の顔を、姉上の方の表情を!
もっと姉上を好きにって、愛して、恋して、壊したくて、歪めたくて、めちゃくちゃにしたくなった。
僕のモノにしたくなった。

でも姉上は全然泣かないし怯えないし絶望しないから...どうしようかと考えた。
だからまず...お友達を減らすことにしたんだ!
姉上のお友達に僕だと気づかれないように姉上は恐ろしい虎だと教えた。
そうして...そのお友達を襲うように金を積んで暴漢に頼んだ。
そしたら...見事に作戦が成功した。
姉上は暴漢をぶっ飛ばしてお友達を助けて...嫌われて離れていった。
その時の姉上のショックを受けて悲しむような絶望をしてしまうようなそんな顔がとても綺麗で愛おしくなった。

もっともっと見たくなった。次はどんな顔をしてくれるのだろうと楽しみになった。

姉上が父上と母上から愛されてないことは知っていた。
けど何もしなかった、むしろもっと姉上が厳しい仕打ちを受けて愛されないように仕向けるようにした。
父上と母上はころっと騙されてくれたから楽だったなぁ...
姉上が日に日に憔悴していくのが見えた。
分かりにくいし強がって毎日頑張って負けないと前に進んでいたけどね。
それでも憔悴していくんだ日に日に少しづつ少しづつ...それが楽しくて嬉しくて仕方なかった。

ある日のこと
「あれ?日葵どうしたの?」
と僕は日葵に声をかけた。そうすると日葵は「お姉様の衣類の一部が無くなってるんです!全く...どこの誰なのでしょう?桃も見つけたら私に教えてください!」だって。僕は一言「分かったよ。姉上のためだ、当然だ。」と言ってあげた。

そうして僕は自室に戻った。
「全く...姉上の衣類を盗むなんて不届き者は殺してやらないとなぁ...」とため息をつく。姉上は僕のものなのに...
誰も知らない自分だけが知っている隠し場所そこには姉上の写真もたくさん飾られている特別な空間。そうしてそこから白い布をそっと取り出した。
「姉上...本当に無防備なんだから...あぁいい匂い...姉上好きです大好き愛してます。」
姉上の匂いがするその布...姉上が身につけたものを少しづつ集めて残して僕のものにして...姉上も僕のものにするんだ。
もっともっと歪んだ顔を見てみたいなぁ...。


けど...それが叶わなかった。
姉上が家でをしたのだ。僕を置いてこの僕を...大切な弟置いていった!
ありえないありえない...なんで?
姉上は僕のものでしょ?
姉上の声も
姉上のその瞳も
姉上のその顔も
姉上の身体も
全部全部全部...僕のものでしょ?
許さない...愚かで可愛い僕の姉上
なら迎えに行くよ会いに行くよ。

大好きで愛してやまない僕のお姫様
迎えに行って2人で暮らそうね?
そうして君は泣いて喚いて苦しみながら僕と共に幸せに永遠に暮らすんだ。

だって姉上は言ったもの。
「貴方達が幸せならそれでいいのよ。」って。

僕の幸せは姉上が泣いたり、叫んだり、絶望したり、顔を歪ませてくれることだから叶えてくれるよね?
僕を幸せにしてくれるよね?

約束だよ...僕の僕だけの姉上
絶対に誰にも渡さないから。
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グラサンさん (8zkxxs3h)2024/2/15 01:35 (No.95187)削除
何度も何度も書き直したのだろう
毎日毎日書き続けたのだろう
彼女の部屋の鍵をかけられた引き出しの中にある数十枚にも及ぶ手紙の数々…

伝え方を知らない彼女が必死に書いた思いの丈の手紙である

━━━━━━━━━━━━━━━
とある本に書いていた。手紙なら気持ちを素直に書けるって…気持ちの整理のためにも書いてみようか。日記よりも手軽そうだしね。
家は窮屈だ。正直…苦しい。
毎日…毎日…どれだけ頑張っても認められないのだから。愛されないのだから。
どうして生きているのか正直分からなくなるよ。
まぁそんなこと言ったって仕方ないのだけど。
今日も一日よく頑張ったね…小菊。
私だけでも私を褒めてあげないとね。
誰も褒めてくれやしないのだから。
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婚約者?馬鹿じゃないの!
また勝手に決められた…絶対に認めない。
どうしていつも私の人生を決めようとするの?
私の人生は…貴方達のものなの?
分からない…分からない…
嫌い……嫌い……大嫌い……
そうすれば、あっちから嫌ってくれるかしら?
分からない…気に食わない…嫌いよ…
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━━━━━━━━━━━━━━━
あの婚約者…ルーナって言っていたっけ?
凄いのでしょ…知ってるよ
…妬ましいなんて…醜いわね
私と違って…羨ましいなんて…情けないかしら?
嫌いよ…けどきっとこれは嫌いじゃないのよね
分からない…だって…自分の気持ちなんてとっくの昔に封じられたのだから


誰か……私を教えてよ
誰か……私を愛してよ
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━━━━━━━━━━━━━━━
なんなのよもう!
頭に来た…何よ何よ何よ
「特別扱いする理由はない」だなんて!
バカみたい嫌い嫌い嫌い…大嫌い…
何も知らないくせに
何も分かってないくせに
何も分かろうともしてくれないくせに

旅に出ようか…家を出よう
ここにいる理由なんて元々ないのだから
私がいた所で誰も分かろうとも何もしてくれないのだから

他人だった貴方くらいは理解しようと分かってくれようも歩み寄って欲しかった
━━━━━━━━━━━━━━━

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行く先も何もなく来たからどうしようかと思っていたらある人にあった。
ノアの方舟というところで働いている人らしい。

どうせどこに行くつもりもなかったし丁度良かったからそこに行くことにした。
ありがとう。今度、お茶でも奢ろうかしら。
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なんで?ルーナがいるのよ意味が分からない…
ただただ町へ出かけただけなのに…最悪な休日とは言えないわね。
あの人……こんなこと出来たのね…意外…
てか…なんなのよ…なんの本当に!
私のことあんな風に言ったくせに…愛だとかそばにいて欲しいだとか…その上キスまでしてきて…初めてだったのに

……頭から離れない…嫌い…やめてよ…
私のことをめっちゃくちゃにしようとするあんたなんて嫌いよ
馬鹿ルーナ
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
ルーナ…私のこと本当に好きなの?
あーもう!あいつのことばっかり!
なんなのよ…やめてよ…心を掻き乱さないでよ…


好きになんてなる資格…私にはないでしょ
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…明日…あいつとデートするのよね
服なんてどうしたらいいから分からない

なんかまともな服あったかしら?
そもそも着物とかした持ってないし…
洋服の方がいいの?…あーもう分からない!


可愛いって、似合ってるって言って欲しいな
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
デート…楽しかったわね
美しい…ってなんなのもう。でも良かった…褒めて貰えた。買って良かったな。
今度は別の格好をしてみよう。この際、洋服を増やすのもいいかもしれない。
そしたらまた褒めてくれるだろうか。

結局…私の負け…だって無理だもの…


ルーナ
好きよ…大好き…愛してる
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今は何をしてるの
こんなこと気になるなんてバカみたい

会いたい

声が聞きたい

触れたい

ねぇ…もっと傍にいてよ
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
家に呼ばれてごはんを作ってあげた
喜んでもらえて良かった…
今度はなにを作ろうか

結局…素直に好きといえなかった…言いたいのに言えない

分からないの表し方が

この気持ちをどう貴方にぶつければいいか

ごめんなさい

もう少しだけ待ってよ

せめてここでは素直になるから

愛してる
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
今日はあまり書くことないわね…
別に毎日書く必要ないのだけど
習慣だからなぁ……

ねぇ…ルーナ…私ね…幸せよ
だから…いつかちゃんと伝えるから
言葉にするから待ってて
愛してるって好きだって伝えるから

もうね貴方しかいないの
馬鹿みたいでしょ?
馬鹿にしていいから…そばにいて欲しい
━━━━━━━━━━━━━━━

━━━━━━━━━━━━━━━
明日はルーナが家に来るのね
掃除して置かないと

馬鹿みたいにドキドキして
馬鹿みたいに待ち望んでるなんて
昔の私がみたらきっと驚くわ……
でも…それでも…
貴方のことに落とされてしまったから
この気持ちには嘘をつけないの

ねぇ…ルーナ…これからも一緒にいてね
━━━━━━━━━━━━━━━

「…今日の分は…まぁルーナが来るし、明日の朝でもいいかしら。ご飯を作ってあげないと。」

そうして女は引き出しの中に手紙を終い、そっと鍵をかけて、愛する彼を待ちながら今日もまた一日を過ごしていく。
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さん (8zuyld7s)2024/2/14 01:50 (No.95080)削除
「アダムの敵全員殺すからさ、その時はアダムの心臓を報酬として俺に頂戴?」

出会って1言目。誰が想像したであろうか。

歴史が長く裏社会を支配していた闇組織アウトサイダー。

頂点に君臨する孤高の白い狼に向って生意気なことを言ったのは、

うす汚れた、黄土の狼。
長く伸びきったボサボサの髪の毛からギラつかせる目、清潔感もないシャツに丈の足りないスキニー。
そして白い狼に向かって吐き出すのは煙草の煙。

死にたいのか、それとも分かっていないのか、

周りに居た眼帯のジジイも、桃色のクソガキも、死んだ目の黒猫…目を丸くしたり、呆れたり、興味無さそうだったり。

これが後に忠誠を誓う…ルドルフの主人との出会いだ。

ルドルフの人生はあまり褒められたものでもない。

生まれはこの都市の少し北のほうの雪山。ツィルフリートは狼族の中でも大きな群れであり、人間になることの出来る獣人だ。

ルドルフは大人数兄弟の末っ子で、育児になれた母親も手を焼いたそうで、

敵わない兄たちに喧嘩を売る、人の食事は横取る、夜の遠吠えは酷い酷い

それでも元気に育ってくれればと母親は見守ってくれた。

んー

その時の暮らしは別の時にでもね、

そうだよ、今は主人と出会った時のことだった。

まぁ狼の時のクセって直らないもので、人間社会で生きていても出てしまうもの。

いわゆる遊び人って言葉の通りに夜を楽しんでいた。

そしたら少し危ないところに足が踏み入っちゃって、

裏社会の人に捕まったんだ。

ご丁寧にお縄なんて巻かれてさ。
自分は縛られる趣味なんてないのにね。

あまりにも手荒に扱うなら噛み殺してやろうとか思っていたんだけど…出会ったんだ

無表情で、空色の空虚な瞳で見つめる…アダムと言う男にね。

出会った時に運命だと思ったんだ、コイツは絶対なにかある。

そう思ったら縄も手癖で解いてしまって煙草に火を付け、アダムに近づいてしまった。

その後に…分からされちゃった。

何をって?色々と。

首輪付けられちゃったんだよ、逃げれない。

けど逃げる気はない。

俺の人生に色を塗ってくれた。

どこまでも、番犬として働こうではないか。

無価値だった命だから、命を与えられてしまったら主の命令以外で死ぬことはできないさ。

_____

懐かしいことを思い出した。今より少し若い時の話だ。アウトサイダーの中でも知る人も少ないルドルフの運命の話。

だって今のルドルフからは想像出来ないだろ?

だから嘘か本当かは当事者に聞いてご覧。

さて、主に会いに行こう。

重く、重圧感のある扉を3回ノックして、

「我らがアウトサイダーの首領、アダム様にお目にかかります。」

丁寧に、最愛の主人の足元に忠誠を誓うのだ。
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