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うなぎさん (91huqvhv)2024/6/18 04:33 (No.107722)削除《重力ちゃんに学ぶ天動説》
※キャラと中の人が話します。
__________六月、某日。
「あのー重力さん」
「なんですか」
「空と星の認識が絶対的であることが、天動説の支持につながるってどう言うことですか」
_____この日、うなぎは一つの疑問をキャラに投げかけたのである。
本来、色のついた重力はうなぎという人間のキャラであり、それがうなぎ単一で動く以上うなぎの知り得ないことを重力は知らない。逆に言えば、彼女の言葉と思考は一片も欠けることなく知り得ている。キャラとは、いや、少なくともなりきりという興味においてのキャラは中の人なしでは動けないのだ。
それが、ある説明を境に彼は、重力の出した言葉に対して疑問を持ってしまったのである。正確に言えば彼女に頓珍漢なこと言わせたわけでも、彼女の意思でおかしくなったわけでもない。純然な理論において出されたその例えに対して、彼女よりも色々知っているはずのうなぎが理解できないという事態が発生、故にうなぎは自分のキャラに対してこうして教えを頂くべく話しかけた。
「私があの人に言った『惑星を消した場合に環境の名称は全部宇宙になり、星と空の区別が消える』という説明に対してあの人は『それでも星と空と言って認識したら大丈夫』と返されましたね。その時の返しに言ったこと、の解説ですね」
その時の発言は大まかにはこうだ。
『宇宙と空は違う。それは、宇宙が無重力であり空は重力があるからです。空を飛ぶのと宇宙を飛ぶのに違いがあり、そしてこれが学術や知識として学ぶ以上その認識(空と星が絶対の区別であること)は人々の認識からズレている事になります。空と宇宙が同存在であれば、天動説を容認する事になります。ですが、現在の学説では天動説は完全に否定されてますよね?それは虚構であると言われているのと変わりません』
この発言を重力のセリフとして打ったうなぎは、実はその発言を理解していない。
キャラを動かすロールプレイングであってはならないこと、作ったキャラの品位を落としかねない行為であるから彼は一瞬焦った。彼女が何かしらの根拠を持ってそう言ったことは、作った本人として感じ取れていた。しかし、彼そのものはそれを言語化できないでいる。
その焦りを解消するには、そう言おうとした本人に聞くのが一番。うなぎは、謎を解消すべく重力へと質問を投げたのだった。
「自分が作ったキャラである以上は、重力さんのことは信じてる。何も根拠や理論もなしにいうキャラじゃないから。それでもわからないことがあるのは不思議でねえ」
「キャラは言うなれば別人の観測、つまりその時間が長ければ長いほど理解できてない事象が増えてきたのです。あなたが私と同じ理解度であったから、今まで出てこなかっただけですよ」
自分の作ったキャラにフォローをもらったうなぎは、気を取り直して重力の解説を待った。
「まず、私が言った天動説の肯定。大まかに言えば、星と空の区別が常識だという認識は、宇宙は空の延長線上といっているのと変わらないのですよ。一応復習しますが、私たちの今認識している常識は、宇宙という無重力の空間があって、そこに惑星という我々が住む星があって、その星の体積に地面がある。空とは、宇宙と地面の間の空間のことです」
「確かに理科の授業でそう習うな______一応聞くんだけど、宇宙と空の区別をつけるものは?」
「いくつかありますが、それこそ重力の有無でしょうね。重力がなければ空気は存在せず、また移動が制限されることもありませんから」
へー、と返事をする中の人。キャラの方は若干呆れながら、そのまま話を続ける。
「つまり、宇宙という括りに惑星があり、惑星の括りの中に空と星=地面があるわけです」
「存在そのものは間違いなく存在するけど、要素としては絶対的なものではない。世界としての分別ではなく、あくまでエリアの区分として存在するのか」
「そういうことです。言うなればどこが中心かということです。世界の始発点がもしこの地球からなら、天文学なんて要りませんよ。地球の中心に、設計図があるんですからね」
重力の言葉に一言一句頷くうなぎ。創作者か本当に。
「しかし、これが星と空が絶対的な世界の要素である。これはつまり、星が我々のいる地球の定義ならば、宇宙は空の一部でしかないのです。星と空がなければ世界が成立しない、星と空という二つが絶対要素としての強迫概念、いわば揺るがない絶対で見出さないと無茶苦茶になるというなら、そもそも宇宙は必要ないのです。だから、地面以外の空間、特に上の何もない空間を細かく区別せす空として認識しても問題ない」
「それが空と星を無理に見出すことの意味なのか?」
「そうです。あの人の新キャラは星と空を認識することで、能力の解放と防御機構を稼働させる。しかし、私がもしこの地球という星を破壊した場合、地動説が比較的正しい事象である以上見出すことはできません。もし天動説の方が正しかった場合、世界は崩壊する。宇宙の中心点が地球である以上、ここが穴となれば全てがここに流れ込んで破滅することでしょう。どのみち、星を破壊した時点で私は勝てるか引き分けのニブイチになるわけです」
そうなのか、と頷く創作者。キャラの丁寧なうなぎは、一つの疑問を口にした。
「ちなみに一応聞くんだけどさ、天動説の否定ってできるの?」
「義務教育で聞く範囲であれば振り子のブレが証明の一つとして語られてましたね。フーコーの振り子でしょう。しかし、理由は『地球が回転すると振り子の揺れがぶれてそのぶれが一周するから』という簡易な説明だけでしたよね。しかしそれを細かく説明するためには多大な労力を要します。一番はなぜ振り子は一周まわるのかという、回転させる力の説明がまあめんどくさい」
実際、ニューヨークタイムズのインタビューに出てた学者は『振り子の理屈は自分は理解できてないし、アメリカ国内で多く展示されてる振り子を見に来た訪問者も一緒だと思う』というくらいにはよく話に出されるフーコーの振り子についてよくは知られていない。
うなぎ自身もフーコーの振り子に関してはよく知らない。こうして書いているだけで、ようやく理解し始めている。
「簡単にいうのであれば星座の見え方が地動説の証拠になるでしょうね。オリオン座が夏に見えないのは、地球の位置が移動しているのが理由。数十日観測すると見える位置がズレていくのもまた理由になります。もし地球が一切動かなければ、いつも同じ位置に星が見えますし、そもそも昼と夜が交互に来ることはありません。これにより地球は動いていることの証明になるのです」
「なるほどなあ」
納得しているうなぎは、例えのストックを一つ蓄えた。話を終えて欠伸して、重力に話しかける。
「なるほどなあ。参考になったよ、おかげで理解できなくて恥かく事なくて済む」
彼女はため息をつく。そして、自分の手にもったスマホをいじった。その画面には間違いなく残っている。一つの録音が。
「もう恥はかいてますよ」